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精子を作る器官である睾丸(こうがん)に炎症が起こる「精巣炎」。治療が遅れると不妊の原因になることもある。五本木クリニック(東京都目黒区)の桑満おさむ院長は「精巣炎に似た症状を持っている他の病気もあるので、腫れや痛みを感じたらためらわず直ちに泌尿器科を受診してください」と呼び掛ける。
▽おたふくかぜに併発
精巣炎は子どもから大人まで年齢にかかわりなく発症する。尿道から侵入した細菌も原因になり得るが、多くはおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)に伴って起こる。桑満院長によると、おたふくかぜにかかった男性の1~3割が精巣炎となり、おたふくかぜの発症後、4~5日して睾丸が腫れて痛くなるという。「おたふくかぜにかかって睾丸の痛みを訴えて受診するケースは子どもにもあります。ただ、大人の方が精巣炎になる確率は高いとされています」
診断では、同じような症状を示す他の病気と区別することが必要だ。睾丸に血液を運ぶ精索がねじれる「精索捻転」や、15~35歳に多い「精巣腫瘍」、精子をためたり、運んだりする精巣上体に炎症が起きる「精巣上体炎」の三つに該当しない場合に、初めて精巣炎と診断される。治療では消炎鎮痛剤を使い、同時に患部を冷やすなどして痛みを和らげる。治るまでには1週間から10日ほどかかるという。
▽ためらわず受診を
精巣炎も早期治療が欠かせないが、受診をためらう人は多い。「睾丸が腫れて痛いと、成人の場合はまず性病を疑ってしまいます。また、第二次性徴期にある10代の子どもはなかなか親に言い出せず、治療が遅れがちです」と桑満院長。処置が遅れると、睾丸を摘出しなければならなくなる場合もある。
注意したいのは、子どもがおたふくかぜにかかった場合、父親にうつることがよくあることだ。自分がおたふくかぜにかかったことがあるかどうかや、ワクチンを接種しているかどうか、確認しておくことが大切だ。
桑満院長は「おたふくかぜの予防が精巣炎予防につながることを考えれば、早いうちに男女ともワクチンを接種しておくのが望ましいでしょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/11/07 06:00)
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