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良質な睡眠は枕が決め手
不眠や肩凝りも解消

 睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に影響を及ぼす「睡眠負債」という言葉が関心を集めている。しかし、睡眠は時間だけではなく質も重要だ。16号整形外科(相模原市)の山田朱織院長は、質の良い睡眠を確保するには「睡眠時の姿勢が最も大切で、良い姿勢を保つ一番の要素が枕です」と強調する。枕選びのポイントについて聞いた。

 ▽良質な睡眠の3要素

選びのチェックポイント

 体の眠りと脳の眠りの両方が十分確保できて初めて「良い睡眠」と言える。「整形外科の視点で言えば、睡眠時にリラックスできるあおむけと横向きの姿勢、そしてスムーズな寝返りという三つの要素がそろうことで、翌朝の首や肩の凝り、腰痛などが改善されます」と山田院長。

 この3要素がそろえば不眠やうつの改善、血圧の安定、いびきの解消などが期待できる。「体と脳を十分休ませるには、睡眠時の姿勢が非常に重要だと考えています」

 睡眠中、無意識に繰り返す寝返りには、体を動かすことによって血液や関節液、リンパ液などの循環を促進、背中にこもった熱を放散する効果がある。また、日中の悪い姿勢でできた背骨のひずみを、元の状態に戻していると考えられている。ただ、体がベッドに沈み込むなどして寝返りがうまくできない場合だけでなく、寝返りで筋肉を使い過ぎても、かえって疲れが取れず夜中に目が覚めやすくなってしまう。

 ▽自分の体に合う枕を

 そのため体に合った枕とベッドを選び、睡眠時に良い姿勢を保つことが大切だ。特にポイントになるのが枕だ。枕の高さはあおむけになった際、首と布団の面の角度が約15度になるのが適切だ。横向きになったときには額と鼻、顎、胸、骨盤の中心が一直線になって、布団の面と平行になるとよいという。また、この高さを維持するため枕は適度に硬く、寝返りがしやすいよう平らなものが望ましい。

 山田院長は「寝返りは背骨を軸にして頭と上半身、骨盤の三つをほぼ同時に自然に動かすことが重要で、体のひねりが少ないほど負担がかかりません」と指摘する。

 適切な枕の高さは年齢や体形などで異なり、人が薦めるものや価格の高いものが必ずしもよいとは限らない。自分の体に合った枕を選ぶことが欠かせない。「眠りを大切にしたい人は、まず睡眠時の姿勢を見直してください」と山田院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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