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厚生労働省の調べによると、うつ病などの気分障害の患者数は2014年には111万6000人に上り、増加傾向にある。従来、人間関係や環境の変化といった外的要因が関係するとされてきたが、最近では、食事の偏りも原因の一つだと考えられるようになってきている。国立国際医療研究センター(東京都新宿区)で「食事とうつ」の研究に取り組んだ福岡女子大学(福岡市)国際文理学部食・健康学科の南里明子准教授に聞いた。
▽偏りなく栄養摂取
心身を支える食事はバランスが大事
南里准教授によると、抑うつ症状の発症にはいくつかの栄養素が関係していることが分かってきた。例えば、ビタミンB群の一つで緑色の葉物野菜やレバーに多く含まれる葉酸は、気分や感情を左右するセロトニンやドーパミンといった脳内神経伝達物質の合成を助ける。認知機能や気分の低下を招くホモシステインというアミノ酸を別の働きのある物質に変換する働きもあり、血中の葉酸濃度が高い人は、抑うつ症状を発症するリスクが低いという。
肉や魚などのタンパク質が神経伝達物質の原料となり、レバーや魚類、ナッツ類に多いビタミンB6がその合成を助けている。細胞の入れ替えには、レバーやカキなどに豊富な鉄や亜鉛が欠かせない。乳製品や藻類に多いカルシウムやマグネシウム、日光を浴びると合成されるビタミンD、緑茶やコーヒーに含まれるポリフェノールも、抑うつ症状の低下と関係している。
南里准教授は「これらの栄養素の相乗効果が抑うつ症状を抑えると考えられるので、偏った食事をしないことが重要なのです」と強調する。
▽1日単位で調整を
南里准教授らが日本人の食事傾向を〔1〕野菜や果物、キノコ、大豆製品を多く食べる「健康日本食パターン」〔2〕肉類や魚介類、卵などが多い「動物性食品パターン」〔3〕パンや乳製品などを中心とした「洋風朝食パターン」―に分類して調べたところ、健康日本食パターンの人で抑うつ症状の低下が確認されたという。
食事のバランスを毎食考えるのは大変だが「朝食と昼食に野菜が少なかったと感じたら、夕食は野菜豊富なメニューにするなど、1日の中で調整することがポイント」と南里准教授。「食事が心と体を支えています。抑うつ症状が起こりやすい人は一度、食事を見直してみてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/11/27 06:00)
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