治療・予防 2024/11/22 05:00
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~アレルギー患者で活性化(信州大学医学部付属病院 柳沢龍准教授)~
乳幼児を中心に、全身の血管に炎症が起きて、発熱や発疹、冠動脈障害などを引き起こす「川崎病」は、1967年に小児科医である川崎富作氏が学会誌で発表して知られるようになった。70年から2016年末までの患者数は累計で36万人以上に上るが、いまだに原因は分かっていない。自治医科大学(栃木県下野市)地域医療学センター公衆衛生学部門の中村好一教授に川崎病の現状や課題について聞いた。
▽心筋梗塞のリスクも
川崎病にかかるのは80%以上が4歳児未満で、特に0歳児後半が最も多い。発熱が5日以上続くことに加え、唇・舌が赤くなる、発疹、両目の充血、手足・首のリンパ節の腫れなどが見られる。血管の炎症が長引くと血管の壁が傷ついたり、冠動脈にこぶができたりして、心筋梗塞のリスクを高めることになる。
患者の8割以上が4歳児未満
そのため、早期診断と治療が重要になるが、中村教授は「これらの症状があるからといって必ずしも川崎病とは限りません。かかりつけの小児科を受診し、必要に応じて専門医を紹介してもらってください」と呼び掛ける。
治療には、細菌やウイルスの感染を防ぐ「免疫グロブリン」と抗炎症作用を持つアスピリンを併用するなど、複数の選択肢がある。97~98年には患者の20%に心臓や血管の異常が、7%に血管壁の拡張やこぶなどの後遺症が見られたが、治療の進歩もあって、15~16年にはそれぞれ7.9%、2.3%にまで減った。
▽自己判断は禁物
川崎病は、原因や将来的なリスクなど分かっていないことが多いが、中村教授は「同じ地域でも季節によって患者数の変動があるため、複数の微生物による感染が関与していると思われます」と解説する。遺伝的要因の可能性も指摘されているが、どの遺伝子が関与しているかまでは特定されていないのが実情だ。
免疫グロブリン療法の効果的な開始時期についても、複数の研究報告があり、議論が分かれている。川崎病にかかった患者が将来、動脈硬化症になるリスクも研究途上にある。
未解明な部分が多い川崎病ではあるが、中村教授は「治療法も複数あって、いたずらに怖がる必要はありません」と強調する。ただ、動脈硬化症のリスクがあるため「後遺症がある場合は、自己判断で治療を中止せず、主治医の指示を受けながら継続的に管理を続けてほしい」としている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/11/28 06:00)
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