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歯ぎしりは大人に限らず子どもにも多い。東京医科歯科大学歯学部付属病院(東京都文京区)顎(がく)関節治療部の西山暁診療科長は「子どもの歯ぎしりは背後にある要因に注意する必要があります」と強調する。
寝起きの歯の痛みは歯ぎしりのサイン?
▽成長に伴い減少も
睡眠には深い睡眠と浅い睡眠があり、大人はおおよそ90~100分のサイクルを一晩に4~5回繰り返すという。歯ぎしりは、深い睡眠から浅い睡眠に変わるときに起きやすいという。西山診療科長は「『微小覚醒』といわれるごく短い生理的な目覚めの反応が、顎の筋肉を活動させて歯ぎしりを起こします」と説明する。
子どもは睡眠のリズムが確立されていない分、深い睡眠と浅い睡眠の行き来が多く、歯ぎしりが表れやすいという。
大人の歯と違って、子どもの乳歯は軟らかく傷つきやすい。そのため、親は歯ぎしりが子どもの歯などに影響しないかと心配になるが、成長に伴って徐々に減るので「あまり心配しなくても大丈夫」だという。
▽睡眠環境を整えて
ただ、別の要因で歯ぎしりが起こる場合もあるので注意が必要だ。睡眠時無呼吸症候群や鼻炎、へんとう肥大などの病気になると、呼吸が苦しくなって睡眠が浅くなり、歯ぎしりが起こりやすくなる。「いじめや友人関係など精神的ストレスから起こることも多く、騒音や明るい部屋での就寝といった環境も大きく影響します」
イタリアの大学が小学生を対象に実施した調査で、親のたばこによる受動喫煙が歯ぎしりを誘発する可能性があることが分かった。日中に爪をかむことが多いと、就寝中の歯ぎしりにつながるというデータもある。
もし、子どもの歯ぎしりに気付いたら、まず、昼間は適度に運動させ、就寝前の飲食は避けるなど睡眠環境を整えることから始めたい。昼寝は30分程度にとどめた方が夜の眠りが深くなって、歯ぎしりが起きにくくなるという。
西山診療科長は「子どもは繊細でさまざまなことに影響を受けます。朝起きた時『歯が痛い』と言ったり、普通よりも早く乳歯がぐらついたりするのは歯ぎしりのサインかもしれません。生活を見直すとともにいびきや口呼吸をしていないか、子どもを注意深く観察してください」と呼び掛けている。
(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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