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全身のだるさや発熱、貧血症状などさまざまな症状が表れるリンパ増殖性疾患「キャッスルマン病」。1950年代に米国のキャッスルマン博士らによって初めて報告された病気で、国内では約1500人の患者がいると推定される。東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)腫瘍・血液内科の矢野真吾教授は「いまだ原因不明で、根本的な治療法も確立されていません」と話す。
全身のだるさや貧血症状が続く
▽リンパ節に腫れ
キャッスルマン病は、リンパ節に1センチ以上の腫れが現れる病気で、腫れの広がりにより、「単中心性(限局型)」と「多中心性」に分かれる。日本人患者の大半は「ヒトヘルペスウイルス(HHV)8型」の感染がない原因不明の「特発性多中心性」と呼ばれるタイプだ。これはリンパ節の腫れの他、発疹やむくみ、胸腹水、腎障害、間質性肺炎など多様な症状が表れる。
リンパ節が腫れる原因について矢野教授は「炎症を引き起こす『インターロイキン6』というタンパク質が関係していると考えられています。しかし、どうしてインターロイキン6が過剰に作られるのかは分かっていません」と話す。
▽難病指定で負担軽減
現在、キャッスルマン病に対して、世界中で治療法の開発が進められているが、特発性多中心性キャッスルマン病には、対症療法しかないのが現状だ。症状が軽い場合には、ステロイドを少量投与することで患者の約半数は発熱やだるさが改善する。ただ、「ステロイドを減らすと症状が悪化する患者さんが多い」という。
ステロイドで十分効果が得られない場合や臓器障害も発症している中等症以上の患者には、インターロイキン6の働きを抑える「トシリズマブ」という分子標的薬を使用する。この薬は点滴薬であるため、原則2週間に1度投与が必要になり、途中で止めることはできないという。
特発性多中心性キャッスルマン病は、2018年度から医療費が助成される指定難病となるため「患者さんの経済的な負担が緩和されるようになります」と矢野教授は話す。また、診療経験が豊富な8施設を基幹病院に指定するとともに、治療可能な施設を増やそうという動きもあるという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/12/20 06:00)
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