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内視鏡などの検査をしても明確な異常がみつからないものの、「胃もたれ」や「胸焼け」「不快感」などを長く訴える患者は少なくない。胃の動きが悪かったり、腸内細菌が影響していたりと原因はさまざまで、神経性胃炎とひとくくりにされていた。そんな症状は近年「機能性ディスペプシア(FD)」に分類され、治療法が模索されている。
▽症状には必ず原因
日本消化器病学会はFDについて診療ガイドラインで「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないにもかかわらず、慢性的に心窩部痛(上腹部の痛み)や、胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」と定義している。臓器に明らかな疾患が見当たらないため治療法がみつからず、複数の病院を渡り歩くといったケースもある。
京都市で医療関係者向けに開かれた時事メディカルセミナー「京都消化器医会定例学術講演会」で、川崎医科大・川崎医療福祉大の春間賢特任教授は、「FDを引き起こす食道や胃など上部消化管は機能が複雑で多数」と指摘。症状が出る要因も、胃の多酸や無酸、十二指腸の軽い炎症、ピロリ菌、ストレス、アレルギーなど多岐にわたり、「単一の原因では説明できない場合もある」とした一方で、「症状には必ず原因があり、解決すれば治る」と強調した。
◇医師と患者のコミュニケーション
患者の自覚症状に応じて胃酸の調整、胃の運動機能改善、ピロリ菌の除菌などを行うことになるが、中には「不安を取り除いただけで治った」「認知症の初期症状が原因だった」といったケースもあったという。
患者と医師との緊密なコミュニケーションが重要で、春間特任教授は「時間をかけなければだめ。ひたすら患者さんの話を聞き、患者さんの言葉でカルテを記入する」よう勧めた。
(2019/03/07 05:55)
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