企画特集

検査しても明確な異常がないのに
「胃もたれ」「胸焼け」「不快感」 機能性ディスペプシアに治療の道

セミナーで講演する東海大医学部消化器内科の古賀泰裕客員教授

 ◇「死の宣告」だった時代も

 FDが注目されるようになるまでの歴史を振り返ってみたい。

 今回のセミナーで講演した東海大医学部消化器内科の古賀泰裕客員教授(日本プロバイオティックス学会理事長)によると、明治の文豪、夏目漱石も苦しんだ現在のFDにあたる胃弱は、胃がんや胃十二指潰瘍が発症しているためと恐れられた。

 早期発見が難しかったため胃がんの宣告が「死の宣告」を意味した時代もあった。また、潰瘍は治りにくく、外科手術も珍しくなかった。1970年代になると胃酸抑制剤の開発で内科治療が主流になり、胃がんの早期発見も増えたが、予防は手探りの状態が続いた。

 80年代に入り、胃がん、胃十二指腸潰瘍などはピロリ菌感染によることが分かり、除菌も可能になると大幅に減少。胃の病気の大部分は解決目前と言われた。胃弱についても、ピロリ菌感染による胃粘膜の慢性胃炎が原因と考えられ、ピロリ菌の除菌で治癒すると予想されてきた。しかし、胃弱を訴える患者は減少しておらず、ピロリ菌を除菌しても胃弱の症状が改善しない患者も多い。こうした患者がFDの治療を受けている。

 ◇ピロリ菌から胃を守る

 古賀客員教授は90年代後半、ピロリ菌に対して抗菌性を持つ「乳酸菌LG21」を開発。乳酸菌LG21は胃粘膜に付着して炎症を起こすピロリ菌の毒性から胃を守ることが明らかになっている。乳酸菌は腸で働くとされているが、古賀客員教授は「乳酸菌LG21は胃酸に強く、胃粘膜表面を覆って保護する。胃に働くプロバイオティックス(人体に良い影響を与える微生物や微生物を含む製品)として世界で広く認知されている」と強調した。

セミナーに参加した医師ら

 乳酸菌LG21が胃粘膜に与える生理的な影響については不明だったが、古賀客員教授は①胃酸分泌を減少させることから、胃酸過多の治療に向けたプロバイオティクスとして投与②胃の筋層の発達を促進する可能性があるため、胃運動機能不全を改善するプロバイオティクスとして投与-する可能性といった、乳酸菌LG21を使ったFD治療の最新研究を紹介した。

〔関連動画〕◇京都消化器医会定例学術講演会

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