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三叉(さんさ)神経痛は、顔面に短時間持続する強烈な痛みが走る病気だ。体に生じる痛みの中で最も激しいともいわれ、これが1日に何度も起こると日常生活に支障を来す。城山病院(大阪府羽曳野市)脳・脊髄・神経センター脳神経減圧術研究所の近藤明悳所長に聞いた。
我慢しないで、早めに受診を
▽歯磨きや会話で誘発
三叉神経は、顔面の感覚を脳に伝える神経で、脳から出た後、三叉神経節で3本に枝分かれする。それぞれが額や目、頬、口、顎などに伸び、各領域に生じる痛みの感覚や運動などをつかさどっている。
三叉神経痛の原因は、主に三叉神経節の手前で、三叉神経が血管や腫瘍などに圧迫されることだと考えられている。圧迫を受け続けた三叉神経は過敏になり、少しの刺激でも顔面に痛みが生じるようになる。「血管は高血圧による動脈硬化の影響を受けて屈曲するようになり、それが神経を圧迫します。圧迫が強まるとともに、症状が進行し神経がより過敏になることで、痛みの回数も強さも増していきます」と近藤所長は説明する。
三叉神経痛の痛みには特徴がある。電気がビリっと走るような激痛が、数秒から長くても数分、顔の片側に繰り返し表れる。洗顔や歯磨き、会話、化粧、ひげそり、食事の際のそしゃくなどがきっかけになりやすい。50、60代での発症が多く、女性に多い傾向がある。
▽薬や手術で治療
三叉神経痛の確定診断には磁気共鳴画像装置(MRI)を用い、三叉神経を圧迫している血管や腫瘍がないかを調べる。治療初期は薬の効果が高く、抗てんかん薬の服用で過敏になっている三叉神経の働きを弱めて痛みの発生を抑える。
症状が進行し、薬で痛みが楽にならない中期以降の場合は手術が行われる。手術では、三叉神経に当たっている血管を移動させて圧迫を取り除く。入院は10日ほどで、再発率は低いという。腫瘍が見つかった場合も、手術で取り除く。
年齢や慢性疾患などにより手術を行うことができない場合には、三叉神経に放射線を照射したり、神経に直接麻酔を打ったりすることで三叉神経の過敏性を鎮める治療が行われる。「痛みの陰に、脳腫瘍など他の疾患が隠れている場合もあります。痛みを我慢せず、脳神経科などで検査を受けることが大切です」と近藤所長は多数の手術経験から早期の受診を勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/03 06:00)
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