一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏

(最終回)
女性の健康支援へ、法整備働き掛け
「国全体での仕組みづくり必要」

 ◇ヘルスケアシステムを世界へ

 各地に女性の健康をトータルで支援する民間の窓口を設け、誰もが気軽に相談できるネットワークをつくることが目標だ。2017年2月には、女性医師、歯科医師、薬剤師からなる一般社団法人『日本女性医療者連合(JAMP)』を立ち上げ、女性医療の専門家集団としての意見をまとめて活動していく基盤もつくった。

 「女性は家族の中ではキーパーソン。自分だけではなく自分の大事な人が皆、健康で幸せであってほしいと願います。女性のヘルスケアに力を入れれば、男性や子ども、高齢者のヘルスケアも底上げできます」

 最近では女性医療のアドバイザーとして、国内だけでなく海外からの講演依頼も増えた。「少子高齢化の進む日本が今後、どう健康寿命を延ばしていくのか、世界中から注目されています。日本のヘルスケアシステムが世界のお手本になる時代が来るかもしれません」と目を輝かせる。

 女性医療をテーマにネットワークの輪が世界に広がり、仕事は増える一方だが負担には感じていない。「やりたいことをしているからです。それに、いつも周りが助けてくれる。みんなで力を合わせて、地域も職場も家庭も楽しい社会にしていきたい」と対馬氏は語る。

 ルリ子という名は江戸いろはかるたの「瑠璃(るり)も玻璃(はり)も照らせば光る」にちなんで祖父が付けた。すぐれた素質や才能がある者は、活躍の場を与えられると能力をいかんなく発揮するという意味だ。名前に負けない活躍は、これからも続きそうだ。(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏