一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏

(最終回)
女性の健康支援へ、法整備働き掛け
「国全体での仕組みづくり必要」



リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)分野で活躍する第一人者の功績をたたえる松本賞を受賞。授賞式で家族の記念撮影=2017年6月、東京都新宿区
 対馬ルリ子氏のクリニックでは、病気の治療は保険診療で行うが、定期的な検診(自費)を受けることが前提だ。内容は年齢やリスクに応じて、子宮がん、乳がん、自己免疫性疾患、生活習慣病など、女性に必要な項目を厳選して組み立てたオリジナルな内容だ。

 「病気の予防と早期発見をし、何かあったときには相談に来られるようにしています。ただ、1人ひとりの診察に時間がかかるので、保険診療だけならうちは完全に赤字です。銀座で華やかにやり、すごくもうかっていると思われることもありますが、借金が多くて月々の家賃も大変。もう本当にカツカツなんですよ」

 健康意識の高い女性たちが集まる一方で、対馬氏がもともと力になりたいと思っていた、知識もお金もなく医療への適切なアクセスができていない若い女性たちが、対象から外れてしまう。

 「メールやSNSで若い女性の身体の悩み相談に乗るなど、一生懸命頑張る産婦人科の先生もいますが皆手弁当です。しかし、それでは広がらない。やはり国全体でヘルスケア底上げの仕組みをつくらなければ」と対馬氏。目指すのは、女性の健康の包括的支援制度の整備。法整備のため国会議員や役人に働き掛け、地道にロビー活動を続けている。

 厚生労働省に「女性の健康推進室」ができたが、対馬氏は「根拠となる法律がないので、実際は何もできない」と指摘。その上で「女性の健康の包括支援法があれば、全国に予算配分できます。お金がなくて医療にアクセスできない人たちを助けられると考えています」と話す。

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