一流に学ぶ 人工股関節手術の第一人者―石部基実氏

(第3回)即決で股関節研究に=米国留学で評価得る

 ダンスは医学部4年できっぱりと辞めた。授業をさぼってダンスの練習に熱中し、ノートのコピーを買うこともあったというが、5年目からは再びスケジュール通りの勉強生活に戻ることにした。

 「やっぱり、幾つものことを追うことはできません。実習も始まるし、医師国家試験の勉強は覚えることがたくさんあって、結構大変でした」

 ◇整形外科を選択

 医学部6年生で専門分野を整形外科に決める。父親の会社が整形外科の医療機器を扱っていて身近に感じていたこともあり、北大の整形外科に入局した。卒業後3年目の大学病院研修の時に股関節のチーフドクターから声を掛けられ、翌年、北大医学部第2生化学教室の研究生となる。

北海道大医学部6年生の時の石部医師(左から3人目)
 「当時の股関節グループは、最初から臨床ではなく研究から入っていました。『今、うちでやっている研究すごい研究だ。僕はノーベル賞を取れると思ってるんだよ』と甘い言葉で誘われてました。僕は人を信じやすいので、すぐ決めました」

 2年間で取り組んだのは、骨をつくる骨芽細胞を活性化させる成長因子は何かを突き止める研究だ。人工関節と骨をくっつけるために必要な医薬品開発に結び付くものだった。

 「2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥先生も、もともとは整形外科医でしたから、後になって思えば、そういうこともあるんだなと」

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一流に学ぶ 人工股関節手術の第一人者―石部基実氏