女性アスリート健康支援委員会 更なる飛躍へエリートアカデミー開校
女性アスリートの活躍と引退後の道筋も
~スケート強化育成責任者に聞く~(3)
鈴木なつ未准教授(左)と湯田さん
―湯田さんは今後、競技団体としてはどのように女性アスリートや女性指導者を支援していったら良いと思われますか。
「決め事をする場で発言していかないと決まっていかないので、女性にはその場にいてほしいですし、決め事をする責任者がそのことを十分に理解していないと決まっていかないと思います。私がソチ五輪以降に強化部長になりましたが、知っている限りでは過去に強化部委員に女性が1人もいなかったので、何とかこのあたりの状況を変えたいと思ったわけです。
現在は4人います。4人は女性であるからだけでなく、それぞれ活躍されている方だからということもあります。15人の強化部員のうちの4ですから3割弱です。競技団体のガバナンスコードでは理事4割が目標ですから、これを踏まえてもそれなりに良い数字になってきたと思います。社会はどんどん動いています。五輪そのものが男女比を限りなく1対1にする方向で動いていて、女性の種目が無い競技は淘汰(とうた)されようとしています。物事を決める場に女性が参加できることが大事です。JSFも女性理事を増やす方向で動いています」
―女性アスリート健康支援委員会に期待することはありますか。
「競技団体でやれることは自分たちでやるのが基本だと考えています。やりたいことをやれないときに助けてもらいたいです。困ったときに支えていただきたいです。よろしくお願いします」
―分かりました。本日はお忙しい中、長時間ありがとうございました。(了)
湯田 淳(ゆだ・じゅん) 日本女子体育大学教授(スポーツ科学)。博士(体育科学)。1972年7月31日、秋田市生まれ。秋田高3年で全国高校総体男子1500メートル3位。筑波大学、同大大学院、社会人でも競技を続け、1999年に現役引退。2000年から日本スケート連盟科学サポート責任者として活動し、14年にスピードスケート強化部長、20年からショートトラック強化部長を兼務。22年からスピード強化育成ディレクター。
鈴木なつ未(すずき・なつみ) 拓殖大学准教授。拓殖大学卒業後、筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ医学専攻修了。博士(スポーツ医学)。その後、独立法人日本スポーツ振興センターが運営する国立スポーツ科学センターなどで研究員を務めたほか、日本オリンピック委員会強化スタッフ、日本スケート連盟スピードスケートで科学スタッフなどとしても活躍。2021年1月からは全日本柔道連盟医科学委員会特別委員も務める。
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(2022/09/16 05:00)
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