こちら診察室 タンパク質にまつわる栄養の話

悩み尽きない子どもの食生活
~相談例から考える~ 第6回

 前回、子どもの食生活を巡るさまざまな問題点と、幼少期から思春期にわたって各世代で必要となるタンパク質の摂取量についてお話ししました。タンパク質に限らず、成長著しい子どもにとっては、エネルギーに必要な栄養素を過不足なく摂取することはとても大切なことです。しかし、「大切とは分かっていてもできない」「どうしたらよいのか分からない」など、子どもの食生活に関する悩みは尽きません。そこで今回は、これまでに筆者が相談を受けたことなどを「Q&A」方式で紹介いたします。

成長曲線を参考に体格を評価する

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 ◇肉や魚を食べず心配

 Q 肉や魚を食べてくれませんが、大丈夫でしょうか?(4歳児・保護者)

 乳幼児の保護者や保育園・幼稚園の先生方にとって、子どもたちが食事を残さず、きれいに食べてくれることほど安心することはありませんよね。とは言っても、この時期の子どもには気分や体調にむらがあり、それが即座に食欲にも影響します。

 「きのうは残さず食べたのに、きょうはほとんど手を付けない」

 「この前、好きだと言っていたから作ったのに残された」

 日々モヤモヤが生じるのも事実。特に、肉や魚を食べないと「タンパク質が不足するのでは?」と不安を感じることと思います。

 まず知ってほしいことがあります。肉や魚を食べないと、すぐにタンパク質不足に陥るのかというと、そんなことはありません。例えば、肉や魚をそのまま利用した料理は食べなくても、ハムやウインナーはどうでしょう? ツナ缶やちくわを使った料理はどうでしょう? また、卵は食べていますか? 大豆製品はどうですか? 牛乳・乳製品は?

 つまり、肉や魚に代わるタンパク質源となる食品を食べていれば、すぐにタンパク質不足になる心配はありません。逆に、肉や魚を食べない可能性を考慮して、主菜以外の料理にもタンパク質源を加えて料理をしたり、常備菜として納豆や豆腐、ゆで卵などプラスアルファで加えられるものを準備しておいたりするとよいでしょう。

 ◇料理の工夫で解決

 次に、子どもが肉や魚を食べないのには幾つかの理由が考えられます。
 【肉を食べない理由】     【魚を食べない理由】
 ・硬い            ・骨がある
 ・パサパサしている      ・パサパサしている
 ・味が嫌い          ・臭いが嫌い

 原因を明らかにした上で、時間をかけて肉や魚を食べられるようにしていきます。上記の理由を見てみると、料理方法の工夫で解決しそうなケースもあります。幾つか例を紹介しましょう。

 ・あんかけなどのようにとろみを付ける:パサパサ感がなくなります。

 ・刺し身用の魚を使って料理する:骨が入っていませんので安心して利用できます。

 ・煮込み料理にしてみる:肉は時間をかけて煮れば、焼き物・炒め物より軟らかくなります。圧力鍋などの利用もいいですね。

 ・ひき肉を利用する:かみにくさがありません。

 ・魚をほぐして提供する:骨の心配なく食べられます。

 ・下処理にひと手間加える:肉や魚の臭い消しのために調味料に漬け込んだり、筋を切ったりします。

 これらの工夫によって食べやすさはアップすることでしょう。

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