こちら診察室 痔を治す
尻の痛みにサヨナラ!
~痔のセルフケアと医療機関での治療法~ 【第4回】
痔の痛みは、日常生活に大きなストレスをもたらします。しかし、軽度の痔であれば適切なセルフケアで症状を和らげ、悪化を防ぐことが可能です。また、医療機関での治療も多様化しており、痛みを最小限に抑えた最新の治療法も存在します。
今回は、セルフケアの方法から医療機関での治療法まで、痔の痛みを和らげるための実践的な情報をお届けします。
◇セルフケアの基本:自宅でできる対策
痔の症状が軽度であれば、医療機関を受診する前に自宅で簡単に実践できるセルフケアを試してみることで不快感が取り除けるかもしれません。
少しの工夫や心掛けで痔を悪化させる要因を減らすことができるので、ぜひ試してみてください。
1. 温浴で血行促進
肛門周囲の血流を改善するために、ぬるめのお湯(38〜40℃)で10〜15分程度座浴を行うことが効果的です。これにより肛門周辺の筋肉がリラックスし、うっ血の改善と痛みの緩和が期待できます。熱すぎるお湯は逆効果となる場合があるため注意してください。
また、温浴は炎症を和らげる効果もあります。特に、冷え性の方や長時間座っていることが多い方には、温浴が痔の症状を和らげる助けとなるでしょう。温浴後は清潔なタオルで優しく拭き取ることを忘れずに。

長時間座る場合はクッションやドーナツ型座布団を使用して血流を改善
2. 適切な座り方
椅子に座る際は、背筋を伸ばしてリラックスさせて深く座り、背もたれを利用しつつ、骨盤に負担がかからないようなニュートラルな姿勢を意識しましょう。
長時間の座位は肛門に負担をかけます。長時間座らなければならない場合は、クッションやドーナツ型座布団を使用して圧力を分散させ血流を改善し、30〜60分ごとに立ち上がって筋肉をほぐすために軽くストレッチを行いましょう。
3. 排便習慣の見直し
多くの人々が日常生活の忙しさから、排便を我慢したり、適切なタイミングでトイレに行けなかったりすることがあります。しかし、これが痔の原因となることがあるため、朝起きた後や食後など、体が自然に排便を促すよう習慣の見直しが必要です。
また、無理に排便しようと息み過ぎず、自然な排便を心掛けることが大切です。食物繊維を豊富に含む食品(野菜、果物、全粒穀物)を摂取し、水分補給も欠かさないようにして便を軟らかくすることが重要です。また、便意を我慢せず、適切なタイミングでトイレに行く習慣を付けましょう。
4.食生活の改善
手軽に食物繊維と水分を摂取できるスムージーがお勧め
痔の症状を和らげるには日常の食生活の見直しも非常に重要です。特に便秘や下痢は痔の悪化を招くことになるため、食物繊維・水分を多く摂り、脂肪分やアルコールを控えるといった食事を心掛けるとよいでしょう。
◇痔の種類と症状
内痔核(いぼ痔)
内痔核は、肛門の内部にできる血管の肥大によって形成される腫れ物で、一般的には「いぼ痔」と呼ばれています。しばしば無症状であるため気付かない場合もありますが、進行すると出血や痛みを引き起こします。
・出血が主な症状で、痛みは少ない
・排便後の出血が続く場合は、座浴と食生活の改善を優先
外痔核
外痔核は、肛門周辺の血管が腫れたり血栓ができたりすることで引き起こされます。通常は肛門の外側に位置し、痛みや腫れ、かゆみといった症状を伴います。
・硬いしこりと強い痛みが特徴
・冷湿布や座浴で腫れを抑える
裂肛(切れ痔)は、肛門の周囲にある皮膚が裂けてしまい、痛みや出血を伴う状態です。排便時に硬い便が肛門を刺激することが主な原因で、特に便秘や下痢を繰り返す人に多く見られます。
・排便時の鋭い痛みが特徴
・便を柔らかくすることで肛門への負担を軽減
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(2025/04/10 05:00)