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尻の痛みにサヨナラ!
~痔のセルフケアと医療機関での治療法~ 【第4回】

 ◇医療機関での治療法

 日本人の3人に1人はいると言われている痔です。しかし、多くの人が悩んでいながら、恥ずかしさから治療をためらう方も少なくありません。

 一方で、適切な医療機関での治療を受けることで症状を改善し、快適な日常生活を取り戻すことができます。ここからは、医療機関で行われる主な治療法をご紹介します。

 1. 保存療法(薬物治療

 外用薬(軟膏、座薬):炎症を抑え、痛みやかゆみを軽減します。代表的なものとして、ステロイド系軟膏や局所麻酔薬入りの座薬があります。

 内服薬:痛み止めや便を軟らかくする薬が処方されることもあります。

 2. 注射療法(ALTA療法)

 切らずに痔核を縮小させる治療法です。ジオン注射とも呼ばれ、痛みが少なく、日帰りでの治療が可能です。

 3. 外科的治療(手術)

 重度の痔核や再発を繰り返す場合には手術が選択されることがあります。代表的な手術法としては、痔核切除術やゴム輪結紮(けっさく)療法(痔核に輪ゴムをかけて壊死させる方法)などがあります。

 受診の目安:どんな症状なら病院へ?

 以下の症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。

 ・大量の出血が続く

 ・激しい痛み発熱がある

 ・膿が出ている、または強い腫れがある

 ・痔核が外に出たまま戻らない

 痔の痛みは、正しいセルフケアと適切な医療の選択によって大きく軽減することができます。「恥ずかしいから」と我慢せず、症状が悪化する前に医療機関へ相談することが、早期回復への第一歩です。自宅でのセルフケアと、必要に応じた医療機関での治療を上手に組み合わせて快適な日常を取り戻しましょう。(了)

鈴木隆二医師

鈴木隆二医師

 鈴木隆二(すずき・りゅうじ) 医療法人社団筑三会理事長、消化器外科専門医(筑波胃腸病院、千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック・健診プラザ)。聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センター助教を経て、20年現理事長に就任。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、麻酔科標榜医、産業医、難病指定医。経営では医療DXに注視し、多数の取材・本を出版している。

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