[男性性器の構造とはたらき] 家庭の医学

 男性性器には精巣(せいそう)、精巣上体、精管、射精管、前立腺、精嚢(せいのう)、尿道、ペニス・陰茎(いんけい)、陰嚢(いんのう)があります。
 精巣は男性ホルモン(テストステロン)を分泌し、精子もつくっています。精巣上体は、精巣の上に帽子のようにのった器官で、精巣から送り出された精子を通す管が折り曲げられて中に入っています。精巣上体は精管へとつながり、精管は鼠径(そけい)部を通り骨盤の中に入り、精嚢まで続いています。この中を精子が運ばれていきます。精子は精嚢で成熟し、射精時に射精管から尿道内に射出され、外尿道口から体外に出ます。ペニスは左右一対の陰茎海綿体と尿道海綿体からなります。尿道海綿体は、その中を尿道が通っており、先端部は亀頭になっています。小児では包皮が亀頭を包んでいます。陰嚢には精巣と精巣上体が入っています。
 男性性器のはたらきは、男性ホルモンの生成・分泌と受精、および性交です。ホルモンは精巣でつくられます。受精には、精子の形成、搬送、および射精が必要となります。前立腺は前立腺液を分泌し、それを精子とともに射出します。性交には陰茎の勃起が重要で、勃起には海綿体に流入する血液量がふえることが必要です。

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 教授〔泌尿器外科学〕 久米 春喜)