検査の意義と役割

 患者さんが困っていることの原因を知り、治療をし、治療効果を判定するために検査は大きな助けとなります。また、高血圧動脈硬化のように自覚症状がない場合や、一部のがんでは、定期的な健康診断にあるような検査を受けることは病気を早期に発見し、重症化する前に治療を開始するためにきわめて有用です。
 検査には血液、尿のようにからだの一部をとって分析する検査(検体検査と呼びます)と、X線検査(いわゆるレントゲン検査)、心電図、超音波検査のようにからだを画像にして検査するもの(画像診断と呼びます)に大別されます。
 まず検査について知る前に注意しなければならないことがあります。検査には簡単な検査もあれば、肉体的にも、金銭的にも負担のかかる検査があります。それらを実施するかどうかは、その必要性の説明を受け、検査から得られる情報量と検査によって起こりうる不利益のバランスを十分に納得したうえで検査を受けるべきです(インフォームド・コンセント)。
 検査は万能ではなく、やみくもに検査を実施しても、むだに終わって得るものがなにもないことも往々にしてあります。検査の意義を考えて、医師と相談しながら検査を受け、その結果について専門家としての医師から十分な説明を受けるのが理想です。

(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)