検体検査を受ける前後の注意点

 検査を受けるときには、本人かどうかを尋ねられますので、万が一にも別な患者さんとの検体の取り違えがあってはいけませんので、必ず書類や検体容器の自分の名前を確認しましょう。
 また検査項目によっては安静が必要なもの、食事の影響を受けるものなどがありますので、検査を受ける前にどのような環境下で検査を受けるのがいいか、確認しましょう。

■血液検査
 多くの場合、血液検査はひじの静脈(尺側皮〈しゃくそくひ〉静脈、橈側皮〈とうそくひ〉静脈、肘正中皮〈ちゅうせいちゅうひ〉静脈)から血液を採取します。血管が出にくい場合は手背(しゅはい:手の甲)、足背(そくはい:足の甲)の静脈を使うこともあります。

 採血のときに、軽くこぶしをにぎりますが、グーパーをくり返すとカリウムが高くなることがあります。あまり動かさないようにします。血管が出にくい場合は、あたためて血管を出しやすくしてくれます。緊張しないでリラックスすることも大切です。
 検査項目に応じて血液を入れる容器が異なります。たとえば、貧血のための検査と肝機能を診るための検査では容器が異なります。このほかにも血清(けっせい)で測定する項目と血漿(けっしょう)で測定する項目があるので、血清用、血漿用ので2本分採血することになります。なお、血液成分のうち血球成分以外を血漿、さらに血漿から血液を凝固させる物質(凝固因子)を除いたものを血清と呼びます。このとき、2本も3本も採血したら貧血になるのではと心配する人がいます。しかし、わたしたちのからだには約5Lの血液が流れています。通常の採血では、小さな容器は1本2mLですので、本数を重ねても10~20mLです。貧血になってしまう心配はありません。
 採血に際して、血管を刺すときの痛みや恐怖心から気分不快になることや、消毒に使うアルコールによるかぶれが生じることがあります。また、ひじの静脈の下には神経があります。きわめてまれではありますが、採血針がこの神経にさわってしまい、痛みやしびれが出ることがあります。針が刺さったところがチクッとすることはあたり前ですが、その周辺や腕の先まで痛みやしびれを感じたときには、すぐに申し出るようにしましょう。
 採血が終わると止血のために血管を押さえる必要があります。予防接種のときのように針を刺したところをもんだりしないでください。通常ですと5分くらいの圧迫で止血されますが、ワルファリンカリウムや抗血小板薬を内服している場合は10分以上も止血にかかることがあるので長く押さえておく必要があります。
 また、腎不全で透析をしている場合には、動脈と静脈をつなぐ手術がされております。この場合は、手術をしていないほうの手から採血するように採血担当者に伝えてください。
 からだの酸素濃度をくわしく調べたり、血液の中に菌がいないかを検査するために動脈から採血する場合もあります。この場合は静脈からの採血とは異なり、採血する場所は手くび、ひじなどとなります。動脈は静脈より圧が10倍ほど高いので、採血後は止血のためにしっかりと長時間押さえる必要があります。

■尿検査
 尿検査は危険も少なく簡便にできる検査ですが、膀胱(ぼうこう)以外の細胞がまざったりしないようにするため、出したときの出はじめの尿はとらず、途中の尿をとるようにしましょう。
 また、ビタミンCが多い飲料(ペットボトルのお茶など)を飲んだあとでは検査に影響が出ますので注意してください。
 一般的な検査であれば1mLの尿でも十分検査ができます。

■便検査
 寄生虫の有無、大腸のポリープ、がんの検査のためにおこないます。以前は便に血がまざっていないかの検査方法の関係で食事の制限がありましたが、現在では食事の影響を受けない検査方法になっていますので、ふつうに便をとって大丈夫です。

■髄液検査など侵襲性の高い検査
 以下の検査はいずれも軽く麻酔をかけ、侵襲性の高い(からだへの負担の大きい)検査ですので、医師の説明をよく聞いてから検査を受けてください。
 髄液検査:脳脊髄液を背なかから少量採取して検査するものです。針を刺される場所が見えないため不安も大きいと思います。髄液採取後に頭痛が出ることがあります。
 骨髄検査:血液の病気の場合は骨髄を採取することもあります。これは胸骨あるいは腸骨に針を刺して骨髄液をとります。
 そのほかに関節がはれている場合、腹部、胸部に水がたまっている場合など、内容物を検査するために針を刺して検体をとることがあります。