炎症を抑えるための外用薬

 炎症を抑えることが多くの皮膚病の治療となります。もちろん炎症の起こる原因、たとえば、細菌や真菌(カビの一種)の感染を放置したままで炎症を抑えるだけではいけません。しかし、原因のよくわからない皮膚の炎症では、とりあえずの治療です。
 皮膚病ではかゆみが出ることが多いので、かゆみをとめて、ひっかかないようにして、治りを早くします。これが不十分のときには、かゆみどめの内服薬を併用します。かゆみの強い皮膚病、湿疹、かぶれ(接触皮膚炎)、じんましん、皮膚そう痒(よう)症、滲出性紅斑(しんしゅつせいこうはん)、中毒疹、痒疹、小児ストロフルスなどに用います。

1.副腎皮質ステロイドの軟膏
 いろいろの種類のものが販売されています。その効果の強弱によって、適切に使い分けることが必要です。
[適応]
 湿疹かぶれなど多くの皮膚病に効果があります。この効果をあげるため、ODT(occlusive dressing technique:密封)療法といって、副腎皮質ステロイド軟膏(なんこう)を湿疹の部分に塗り、その上からラップなどをかけ、セロハンテープで皮膚に密着させておき、1日1回取り替える方法があります。テープの裏にこの薬が塗ってある特殊の剤形があり簡単で便利です。
[副作用]
 いろいろのものがあります。皮膚感染症(細菌、真菌〈カビ〉、ウイルス感染)、皮膚の毛細血管拡張、酒さ(しゅさ)様皮膚炎、口囲皮膚炎、多毛症、ざ瘡(そう)様皮疹(にきび)の発生などです。ごくまれに軟膏による“かぶれ”(接触皮膚炎)を起こすことがあります。この軟膏を使うときは必ず専門医に相談してください。


2.非ステロイド系抗炎症薬の軟膏
 副腎皮質ステロイドではない抗炎症薬の軟膏です。炎症を抑える力は弱いのですが、皮膚の感染症を起こすなどの副作用が少ないので、顔の皮膚炎、軽い皮膚の炎症に用いられこともあります。この軟膏は、かぶれ(接触皮膚炎)を起こすことがあります。

3.免疫抑制薬含有軟膏
 腎臓や心臓の移植のときに使われる免疫を抑える薬を含んだ軟膏と免疫をひき起こすサイトカインという物質を抑える軟膏とがあります。アトピー性皮膚炎などの皮膚病変に効果があります。副腎皮質ステロイド軟膏とは少し違った効きかたをします。専門医の処方に従って使ってください。