ビタミン過剰症〔びたみんかじょうしょう〕

 ビタミン過剰症はビタミン薬の過剰投与によって起こるものがほとんどです。脂溶性ビタミンAやDをとり過ぎると、肝臓に蓄積して中毒症状を起こします。

■ビタミンA過剰症
 慢性の中毒症状では体重減少、めまい、不安感、鼻出血などがみられます。急性中毒症状は頭痛、嘔吐(おうと)、脱力、嗜眠(しみん)などの重篤な症状が出ます。ただちに、ビタミンAの服用を中止してください。

■ビタミンD過剰症
 初期のうちは食欲不振、口渇、倦怠感(けんたいかん)、頭痛など、ついで悪心(おしん)、嘔吐、下痢が起こります。肺、心臓、皮膚、関節など多くの部位にカルシウムがたまり、いろいろの病気を起こします。特に腎臓にはたまりやすく、尿路結石をつくります。長く続くと尿毒症を起こします。
 このようなビタミンD過剰症では、いったんできたカルシウムの沈着は簡単にはとれませんので、過剰投与にならないように特に注意が必要です。

(執筆・監修:東京女子医科大学 教授〔内科学講座 糖尿病代謝内科学分野〕 中神 朋子
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