こころの病気

コラム

新型コロナウイルス感染症のこころの健康への影響

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行により、わが国も医療危機・社会経済的危機に襲われています。休業や失業、休校や対面授業の削減、自粛生活のなかでの余暇活動の制限などにより生活が一変し、日常の人と人との交流ができなくなるなかで、こころの健康が大きな影響を受けています。目下コロナ禍が進行するなかで、精神科医療に携わる人の多くが、うつ病や不安障害、あるいは精神病レベルの障害のリスクが高まっていることを実感していると思います。そのようなデータを示す民間調査もあります。
 COVID-19と精神疾患・こころの健康との関連については諸外国のデータがあります(以下、※より)。大まかにまとめますと、(1)感染者は重度の精神的苦痛を体験し、若年者や低収入の人たちでその傾向が強い、(2)急性ストレスと抑うつは死亡がふえるにつれて強まり、精神疾患の既往がある、メディア暴露時間が長い(関連のニュースを長く見るなど)、矛盾したメディアの情報に暴露されるなどの要因が関連している、(3)精神科診断のある人はない人にくらべて感染による死亡率が高い、(4)精神科病院入院患者は感染リスクと死亡率が高い、(5)コロナ感染により新たに精神疾患が発症するが、その割合は比較したほかの疾患(呼吸器感染症や皮膚疾患など)よりも発症率が高い、(6)小学生の抑うつや不安を体験する割合は高いが楽観的でない生徒のほうがそのスコアが高い傾向があるなどです。以上の報告は日本での体験とよく一致するかもしれません。
 残念ながら今のところ日本からの報告はわずかですが、そのなかでは産後うつ病がふえているのではないか、若年層の自殺者がかなりふえているのではないかといった報告が注目されます。
 コロナ禍のなかでどのような心構えで生活すればいいのかという点に関しては、日本精神神経学会や日本うつ病学会が見解を出しています。

※Toshiharu Furukawa, M.D., M.B.A., Ph.D. : Significant Scientific Evidences about COVID-19 [2020 年 11 月 25 日版]