政府はマイナンバーカードと一体化したマイナ保険証を持たない人に発行する「資格確認書」の運用を大幅に見直す。有効期限を最長5年に延ばし、本人の申請がなくても「プッシュ型」で配るのが柱。今の保険証制度に近づけることで混乱を抑えるのが狙いだ。
 資格確認書はマイナ保険証がなくても保険診療が受けられるよう、6月に改正された健康保険法などに明記。本人からの申請を原則とし、有効期限は最長1年に設定した。マイナ保険証の例外的な位置付けで、継続して使うには毎年の更新手続きが必要とした。
 しかしマイナンバー制度を巡る相次ぐトラブルで批判が集中。カードを自主返納する動きも表面化した。政府内でも「保険料を負担しているのに診療が受けられない事態は絶対に避けなくては」(厚生労働省幹部)と運用見直しを探っていた。
 新たな対策では最長1年の上限を見直し、5年以内なら保険者の判断で期限を決められるよう修正。現在、主に自営業者向けの国民健康保険や75歳以上の後期高齢者医療制度の場合、保険証の有効期限は1~2年。大企業が中心の健康保険組合は特段定めがない。5年以内にすれば、大半の被保険者にとって影響は少ないと見込んだ。
 また、本人申請を必要とした従来方針を改め、マイナ保険証を持たない人全員に職権で交付。「事務手続きを行う保険者と利用者の負担を少しでも減らす」(関係者)ことを目指す。同省は来秋に向け資格確認書の詳細を詰め、省令で定める方針だ。
 今回の見直しでマイナ保険証の利用登録を解除し、資格確認書を選べるようにもしたため、政府も「当面の不安解消につながる」(別の厚労省幹部)と期待する。ただ、ひも付けミスなどトラブルの収束が見通せない中、来秋の移行作業を混乱なく迎えられるかは不透明さが付きまとう。 (C)時事通信社