新型コロナウイルスワクチン接種に関する受託業務を巡り、大手旅行会社近畿日本ツーリストが自治体に過大請求していた事件で、大阪府東大阪市から計約8億9400万円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた同社関西法人MICE支店の元支店長森口裕被告(55)ら3人=いずれも懲戒解職=の初公判が20日、大阪地裁(渡部市郎裁判長)であった。罪状認否で森口被告らは「その通りです」などと述べ、3人とも起訴内容を認めた。
 他に起訴されたのは、同支店の元グループリーダー臼杵賢一(58)、元チームリーダー太田幹雄(54)両被告。
 検察側は冒頭陳述で、同社では以前から外部委託業務案件で「水増しが横行していた」と指摘。業務を再委託する際に、太田被告が人数を減らして発注し、決裁権を持つ森口被告らも推奨していたと述べた。
 起訴状によると、3人は共謀して2021年9月~22年10月、東大阪市から受託したワクチンコールセンター業務でオペレーターの人数を水増しして計約2億2100万円を過大に請求。同市から計約8億9400万円をだまし取ったとされる。
 同社静岡支店の元リーダーも同様の過大請求をしたとして逮捕、起訴された。親会社のKNT―CTホールディングスは20日、再発防止策を公表。その後の調査で、過大請求の総額は最大で37自治体、計約7億円に上ると明らかにした。近ツー前社長は8月、引責辞任した。 (C)時事通信社