筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者の依頼を受け、殺害を主導したとされる医師と共謀したとして、嘱託殺人などの罪に問われた元医師山本直樹被告(46)の公判が17日、京都地裁(川上宏裁判長)であり、検察側は「医療知識を悪用した前代未聞かつ衝撃的な事件で、社会的な影響も大きい」として懲役6年を求刑した。弁護側は改めて共謀を否定し、この日で結審。判決は12月19日に言い渡される。
 検察側は論告で「大久保愉一被告(45)に安易に同調し、不可欠で重要な役割を果たした」と主張。「被害者からの報酬が自分に支払われることを知った上で加担し、実際に全額を使った」と指摘した。
 弁護側は最終弁論で「大久保被告から具体的な計画は伝えられていなかった」と反論。罪が成立するとしてもほう助にとどまり、執行猶予付きが相当だと述べた。
 山本被告は「大久保と一緒にやったと言われるのは納得できない」と述べた。
 起訴状によると、山本被告は2019年11月30日、医師の大久保被告と共謀しALS患者の女性=当時(51)=から依頼され、京都市中京区の女性宅で薬物を投与し、急性薬物中毒で死亡させたとされる。 (C)時事通信社