流産などで子どもを亡くした家族をサポートするNPO法人「ペリネイタル・ロスサポートなごみ」(札幌市)の村田美沙希代表(33)が、出産前後の周産期に亡くなった赤ちゃんと別れる際の服やひつぎを作る活動を続けている。自身の経験も踏まえ、「同じ境遇の人の力になれば」と力を込める。
 村田さんは4年前、妊娠39週で第2子の死産を経験。原因が分からず、退院後も自分を責めて泣く日が続いた。一方で、母乳が出るなど、体は赤ちゃんを出産した母親と同じ。「『赤ちゃんがいないのに』と思われるのが怖くて、周りに悩みを打ち明けられなかった」。孤独を感じ、家にこもっていた。
 そんな中、心の支えになったのは亡くなった赤ちゃん用の服作りだった。赤ちゃんのサイズに合った服やひつぎは少なく、ガーゼや空き箱で代用することも多いと知り、製作を開始。以来、毎月30~50着ほどの服やひつぎを作り、オンラインで販売している。これまでに1000着以上の服を届け、購入者からは「親として最後に何かしてあげることができて良かった」との声も寄せられた。
 販売後もメールや電話で購入者とやりとりをし、相談に乗る。周囲から「赤ちゃんのことは早く忘れなさい」と言われた人もおり、少しでも理解を広げようと今年8月にNPO法人を立ち上げ、啓発活動に取り組む。ただ、産婦人科医院などにポスター掲示を依頼しても、「縁起が悪い」と断られることもあった。村田さんは「死産や流産はタブー視されがちだ」と話した上で、「誰にでも起こり得るということを、皆が頭の片隅に置いてほしい」と強調した。 (C)時事通信社