厚生労働省は、介護現場での人材不足が深刻化する中、介護福祉士の国家試験制度を見直す検討に入った。特定技能の外国人材ら、働きながら資格取得を目指す人の受験機会の拡大に向け、合否判定の仕組みの変更などを視野に入れている。
 具体的には、筆記試験の合否判定について、計13科目の総得点で評価する方法を改め、科目ごとに合否を出して、合格した科目が有効期限内なら再受験する際に免除することなどを考えている。
 高齢者人口がほぼピークとなる2040年度に必要とされる介護職員は約280万人。しかし、他の業種に比べて低い賃金などを理由に離職するケースも少なくなく、外国人材を含む担い手確保が課題となっている。
 専門的な知識を備え、現場で中心的な役割を担う介護福祉士は特に重要な存在。ただ、厚労省によると、年に1度の国家試験の受験者は現場で働く人が約8割を占める。受験資格を得るには3年以上の実務経験が必要になるため、特定技能や技能実習の外国人材が最長5年の在留期間内に合格するのはハードルが高いとの声が上がっている。
 そこで厚労省は、筆記試験の合否判定の仕組みを見直す。科目ごとに合否を出す方式は保育士試験で採用しており、同省はこの制度などを参考とする見通しだ。
 介護福祉士の資格を持つ外国人材は「介護」の在留資格を得られ、働く期間や従事できるサービスに制限がなくなり、家族の帯同も認められる。このため人材の定着につながることが期待できるという。厚労省は、試験の公平性や運営体制なども考慮し、制度の詳細を詰める方針。 (C)時事通信社