政府・与党は、児童手当の支給対象を高校生(16~18歳)まで延長することを受け、2024年度税制改正に向けて扶養控除の縮小を議論している。政府や自民党税制調査会幹部の間では縮小すべきだとの意見が根強いが、公明党からは現状維持を望む声が上がる。今月中旬に予定する税制改正大綱の取りまとめへ、両者が歩み寄れるかが焦点となる。
 扶養控除は養育する子どもの人数に応じて、所得税などの負担を軽くする仕組み。現行制度では、所得税の場合、扶養する16~18歳の子ども1人につき38万円を控除できる。15歳以下を対象とした年少扶養控除は、民主党政権時代に「子ども手当」(当時)の創設とともに廃止されている。
 高校生の扶養控除を維持したまま、児童手当を支給すると、中学生以下の子どもと比べて高校生に対する支援だけ手厚くなるため、政府は見直す方針だ。ただ、一律で控除を廃止した場合、高校生に児童手当を支給しても負担が増える世帯があるとして、縮小を軸に検討が進められている。
 一方、公明党は扶養控除の廃止や縮小に否定的な考えを示す。西田実仁税調会長は「政府は異次元の少子化対策として、児童手当拡充を思い切ってしているわけで、税制も一貫したメッセージを発信する必要がある」と強調する。
 これに対し、自民党の宮沢洋一税調会長は扶養控除の現状維持を望む意見について、「(自民税調の幹部会合では)一つもない」と突き放す。今後の税制改正論議では具体的な控除の縮小幅などを議論する見通しだが、自公間の隔たりは大きい。両党が合意できるような制度設計にできるかが課題となりそうだ。 (C)時事通信社