厚生労働省労働基準局は1月15日付で、医師の宿日直許可基準および研鑽に係る労働時間の考え方に関する留意事項を改正した旨の課長通知を発出した。大学病院などの勤務医については、本来業務に教育・研究が含まれるため、これらと直接関連する研鑽は労働時間に含まれると明示した(関連記事「過労自殺問題、医師の自己研鑽は労働なのか」、「専攻医を過労自殺に追い込んだ2つの巨大悪」)。

大学での講義や指導、事務も該当

 一般的に大学病院などの教育・研究機関の付属施設で勤務する医師は、新しい治療法や薬剤に関する勉強、学会・外部勉強会への参加および発表準備、論文執筆など、医師の研鑽となる活動を「本来業務」として行っている。今回の通知では大学病院などの勤務医について、教育・研究が本来業務に含まれると明記された。

 厚生労働基準局は研鑽が労働時間に該当する例として、以下のように説明している。

・本来業務に不可欠な準備や後処理として教育・研究を行う場合
勤務する大学の学生への講義や試験問題の作成・採点、学生などが行う論文の作成・発表に対する指導、大学入学試験や国家試験に関する事務など。これらは所定労働時間内外にかかわらず労働時間となる。

・本来業務として行っている教育・研究と直接の関連性がある研鑽を所定労働時間外に上司の明示・黙示の指示の下に行う場合
所定労働時間内に使用者に指示された場所(院内など)で行う場合と同様に、所定時間外であっても上司の明示・黙示の下に行う場合は該当する。

 このように大学病院などの勤務医は研鑽と本来業務の明確な区分が難しいケースが多い。通知では、研鑽が労働時間に該当するかについて、業務との関連性、指示の範囲、不利益がないかなど上司と円滑なコミュニケーションを図り、双方の理解が一致するように確認する必要があるとしている。

(編集部)