政府は、子どもが生まれたときに親が市町村に提出する出生届と出生証明書について、マイナンバーカードの個人向けサイト「マイナポータル」によるオンライン提出を可能にする。紙の書類を窓口に持参する手間を省き、市町村の事務負担も減らす。今夏までに暫定的な仕組みをつくり、一部地域で先行導入。2026年度をめどに全国実施を目指す。
 政府は今夏までにシステム改修や規則改正を行い、出生届をマイナポータルで出せる環境を整える。出生証明書は従来通り医師などが手書きし、親は受け取った証明書をスマートフォンなどのカメラで撮影。出生届の入力時に写真の画像を添付する。
 出生届の氏名や生年月日は電子データで届くため、市町村が手入力する負担はなくなるが、出生証明書は画像で届くため、子の身長や体重を手入力する手間が依然残る。そのためこの仕組みは本格実施前の暫定措置の位置付けで、導入の可否も各市町村が判断する。
 その後、政府はさらにマイナポータルを改修し、全市町村の戸籍情報を把握するシステムや、市町村と医療機関を結ぶネットワークを整備。26年度をめどに全国で出生届のマイナポータル提出を実現する計画だ。出生証明書の身長や体重の情報は、医師らが市町村に電子データで直接送れるようにする。
 この結果、親は出生証明書の画像添付が不要になり、マイナポータルによる出生届だけで手続きが完了。市町村が手入力する負担もゼロになる。内容に不備がある場合、自治体がマイナポータルのメッセージボックスや電話で問い合わせる。
 内閣官房担当者は「スマホがない人のため、紙の手続きを残すことも必要かもしれないが、将来的にはオンライン提出を原則としたい」と話している。政府は死亡届と死亡診断書のオンライン提出も検討。議論に着手したばかりで実現は出生届よりも遅くなりそうだ。 (C)時事通信社