マウスの肺の組織をヒトの細胞に入れ替えて再生した人工肺を開発し、別のマウスに移植して血流を再開させることに、東北大とトロント大の研究グループが世界で初めて成功した。将来的に動物由来の人工臓器を使った移植医療の実現につながる可能性があるという。研究成果は4日、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
 研究グループは、1センチ程度のマウスの肺から薬剤を使って細胞を取り除き、骨組みとなるたんぱく質だけが残った状態にした上で、培養したヒトの細胞を注入。細胞が入れ替わった人工肺を別のマウスに移植したところ、全体に血流が行き渡ることを確認した。
 将来的には、人の肺の大きさに近く、免疫の拒絶反応が少ないブタの肺を用いた人工肺の作製を目指すという。研究グループの東北大加齢医学研究所の鈴木隆哉助教は「ゴールに向けた基本のシステムができた。これを基にアップグレードしていきたい」と話した。 (C)時事通信社