その他 医療・医薬・福祉

基礎医学医療研究に向けた助成金 「第8回 生体の科学賞」の授賞式が3月8日(金)に開催。授賞者は月田早智子氏(帝京大学 先端総合研究機構 教授)

公益財団法人金原一郎記念医学医療振興財団
基礎医学研究の女性パイオニアである月田早智子博士の「上皮バリア研究」が高く評価される。


受賞者の月田早智子博士(帝京大学先端総合研究機構 教授)
 公益財団法人金原一郎記念医学医療振興財団(代表理事:澁谷正史)は2024年2月15日(木)、第8回 生体の科学賞を帝京大学 先端総合研究機構の月田早智子氏に授与することを決定しました。授賞金額は500万円。授賞テーマは「生体機能システム構築基盤としての上皮バリア研究の新展開(New Advances in Epithelial Barriology as Foundation for the Biological systems)」です。

生体の科学賞とは
 生体の科学賞は、1949年創刊の雑誌「生体の科学」の理念に基づき、基礎医学医療研究領域における「独自性」と「発展性」のあるテーマに対し、毎年1件の対象研究に500万円を助成しています。長年に渡り研究に専念される研究者を応援し、持続的で、卓越した、日本の基礎医学・生命科学の発展を目指し、助成を行っています。若手研究者への研究費助成が増加し、中堅以降のキャリアを持つ研究者の助成金取得が困難さを増している昨今で、生体の科学賞は年々その価値を高めています。

受賞者紹介
月田 早智子(つきた さちこ) 
1954年1月14日生
所属 帝京大学先端総合研究機構
役職 教授

 月田早智子博士は、東京大学解剖学教室にて大学院生として月田承一郎博士と共に研究キャリアをスタートさせました。以降、二人三脚で意欲的に研究に取り組み、1986年承一郎博士とともに東京都臨床医学総合研究所で研究室を開設。電子・光学顕微鏡を駆使した独自の「見て考えて科学する」アプローチによる細胞生物学を推進し、1989年にタイトジャンクション(TJ)の単離に成功し、当時謎であったTJの分子構築の系統的な解析を可能にしました。このTJ研究から、1993年にはZO−1、1998年にはクローディン、2005年にはトリセルリンが同定されました。月田承一郎博士が2005年に病気で急逝された後も、月田早智子博士は、TJ研究を主軸として、より幅広い視点で上皮のバリア研究(生体の動的恒常性と生体機能に関する細胞生物学研究)に邁進され、大阪大学生命機能研究科・医学系研究科教授を経て、現在は帝京大学先端総合研究機構 健康科学研究部門 教授としてご活躍されております。
 常にオリジナリティーを持ったご研究にこだわり、世界でご活躍される一方で、結婚・出産・育児というライフイベントもご経験された月田早智子博士。そのキャリアパスは、女性研究者たちだけでなく、多くの働く女性たちを勇気づけ、次世代のためのライフワークバランス充実、ダイバーシティ促進に向けて、大きな影響を与えています。

授賞理由(選考委員著)
 生体と外界との境界(上皮バリア)において、上皮細胞同士が互いに側面で強く接着して体液保持を担い生体恒常性を創出するための細胞間接着構造がタイトジャンクション(密着結合)です。月田早智子博士は、微細構造を保ったままタイトジャンクションを単離する手法を世界で初めて確立しました。この手法を用いて、故月田承一郎博士とともに、タイトジャンクションの主要な構成成分の一つであるクローディンファミリー分子群の発見とその機能解析を進めてこられました。その後さらに、タイトジャンクションの裏打ち構造として、アクチン層・中間径フィラメント層・微小管層の3層構造であるアピカル骨格も発見されています。クローディンは27種類ものパラローグからなり、その全貌解明は容易ではありません。月田博士らは個々のクローディンを欠損するマウスを網羅的に作製し、それぞれの機能喪失が気管支肺炎、胃腫瘍、胆石など多種多様な病態と関連することを明らかにしています。さらに現在は、遺伝子改変技術を用いて個々のクローディン分子の機能解析を詳細に進めつつあります。これらの研究はクローディンが関わる上皮バリア機能の多様性と時空間動態の解明に資するものです。月田博士が今後も上皮バリア研究に貢献されることを祈念し、第8回「生体の科学賞」を授与します。

生体の科学賞 授賞式
 第8回生体の科学賞 授賞式は2024年3月8日(金)に株式会社医学書院(所在地:東京都文京区本郷1-28-23)にて開催されます。
ご参加希望の方は、下記財団事務局までご連絡ください。

公益財団法人金原一郎記念医学医療振興財団について
・所在地:東京都文京区本郷1-28-24 IS弓町ビル7階
・代表者:澁谷正史(代表理事)
・創立:1986年12月2日
・主な活動内容:基礎医学医療に関する研究に対する助成、基礎医学医療に関する学会や研究会の海外派遣に対する助成、基礎医学医療に関する研究を行う外国人留学生に対する助成、基礎医学医療に関する研究成果の出版に対する助成 等
・公式サイト:https://www.kanehara-zaidan.or.jp/
問い合わせ:info@kanehara-zaidan.or.jp または 03-3815-7801
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
本コーナーの内容に関するお問い合わせ、または掲載についてのお問い合わせは株式会社 PR TIMES ()までご連絡ください。製品、サービスなどに関するお問い合わせは、それぞれの発表企業・団体にご連絡ください。

関連記事(PRTIMES)