VIVE Focus 3がISSでの宇宙飛行士の身体健康のために使用されることとなりました

HTC NIPPON株式会社
～　宇宙で使われるVR　～

2月15日、HTC VIVEは、VIVE Focus 3が国際宇宙ステーション（ISS）でのメンタルヘルスサポートとしての使用に成功し、次にフィジカルヘルスのサポートへの利用に拡大されることとなりました。VIVE Focus 3は、重要なエクササイズルーチンの一部として現在使用されています。ヨーロピアンスペースエージェンシーのアンドレアス・モーゲンセン宇宙飛行士は、6ヶ月のミッション期間中、ISSの指揮官を務めており、Danish Aerospace Companyが製作したFERGOエクササイズバイクでVR体験を行っています。

写真提供：ESA/NASA
宇宙飛行士は、微重力の環境でさえ短期間で筋肉の減少や骨密度の低下を経験します。数週間以上宇宙にいる宇宙飛行士は、少なくとも1日2時間は運動しなければならず、それでも地球に戻ったときには広範なリハビリが必要となります。ISSの閉鎖環境での1日2回の強制運動はかなりの挑戦となります。

ISSの閉鎖的で味気ない宇宙船内部でエクササイズを継続するため、アンドレアス・モーゲンセンはVIVE Focus 3をかぶり、サイクリング中に視覚的にも物理的にもマッチした体験をしています。サイクリングすると、風景が時間とともに移動し、VIVE Focus 3はBluetooth経由でFERGOに情報を送信し、上り坂や異なる路面を走る際に抵抗を感じるようにされています。

VR体験では、アンドレアスが楽しくエクササイズできるように、彼の母国デンマークで撮影された5つの異なるサイクリングルート（Loekken、Silkeborg、Svanninge Bakker、Odense Aasti、そしてCopenhagen Lakes）が用意されています。特に挑戦的なシナリオは、デンマークの競技会で勝者となった10歳のイザベラ・ダムが第二次世界大戦のバンカーなど独特な景色を眺めながらLoekkenビーチでのサイクリングの映像を共有してくれました。

UK Space Agencyのジェレミー・カーティスなどの専門家は、5か月間宇宙にいる宇宙飛行士は「筋肉量の約40％と骨量の12％を失う」可能性があり、...筋肉の減少は、3か月の間に20歳の人が60歳の人になるのと同じくらいだということです。一部の宇宙飛行士は、地球に戻った後、フルフィットネスを取り戻すために最大12か月間リハビリに取り組んでいます。宇宙で過ごす間は、微重力の影響を最小限に抑えるために毎日2時間運動する必要となります。

アンドレアスはWILD Nature Foundationの大使であり、2024年1月17日に彼らに対して「地球が恋しい。本当にね。カップラで座って地球を見下ろすのは美しい光景だけれども、それとは違う暖かい太陽の感触が恋しい。そよ風が恋しい。草や木々の香りが恋しい。ただ外に出て扉を開けることが恋しい、そして自然の音。私たちがいるのは非常に非自然な実験室です。ここにある実験の一つは、私が心をリフレッシュし、精神を助けるために使用するVRセットです。実際、素晴らしい。この仮想現実セットの好きなところの１つは、音です。鳥のさえずりや、風が葦や葉を通り抜ける音を聞くことが好きです。それが好きで、それが恋しいのです。」と述べています。

HTCのチェアウーマン兼共同創業者であるシェール・ワンは、「ISSでのメンタルヘルス向上のためのVIVE Focus 3の展開は、信じられないほどの節目でした。そして、この成功をさらに推進して、宇宙飛行士の身体的健康を支援するためにイニシアチブを拡大することに興奮しています。HTCでは、革新の文化に支えられており、常に人類の利益のために先端の没入型テクノロジーを推進する新しい方法を探しています。VIVE Focus 3が宇宙の微小重力環境で動作する初めての独立型VR/XRヘッドセットであることは、私たちのチームの努力の証であり、地球とその先に大きな影響を与えるでしょう。」と述べています。

Danish Aerospace CompanyのCEOであるトーマス・A・E・アンダーセンは、「微小重力での宇宙飛行士の身体的健康を支援することは、ミッションの成功だけでなく、長期的な健康にも重要であり、実際にはメンタルヘルスにも役立ちます。私たちの最初のエクササイズバイク、CEVISはISSで20年以上の間機能しており、多くの示唆を与えてくれました。FERGOは素晴らしいアップグレードであり、VIVEのVR専門知識と組み合わせることで、宇宙飛行士は運動により参加しやすく、そしておそらくよりやる気を起こすことができるでしょう。」と述べました。

Nord-Space ApSのCTOであるルンダール・トムセンは、「低重力環境での生活の身体的な挑戦は過小評価できません。宇宙飛行士は筋肉量や骨密度の減少を経験しています。Nord-Space ApSは、VIVEのVRを微小重力で動作させる開発を支援できたことを誇りに思っています。なぜなら、私たちは今、ISSの宇宙飛行士の生活に実際に、そして計測可能なプラスの変化をもたらすことができました。」と述べました。

国際宇宙ステーションは、地球の美しさや宇宙の広大さがある一方で、ISS自体は小さく、閉鎖され、騒々しく、視覚的には無機質です。以前のESAのミッションはGrand tour of the International Space Station with Drew and Luca | Single takeに収められています。