医療・医薬・福祉

アストラゼネカの前立腺がん患者調査、治療の意思決定プロセスにおいて患者さんの要望が医師と適切に共有されていない可能性が明らかに

アストラゼネカ株式会社
約9割の患者さんが、“治療選択肢を複数提示して欲しい”と望む一方で26%の患者さんが、医師から提示された治療選択肢は1つと回答

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は
前立腺がんと診断されたことのある525名を対象に、前立腺がんの治療選択の意思決定における、患者
さんの情報提供のニーズおよび医療従事者とのコミュニケーションと治療満足度の関係性について調べるインターネット調査(以下、本調査)を実施しました。本調査から、治療の意思決定プロセスにおいて患者さんの要望が医師と適切に共有されていない可能性が明らかとなり、前立腺がん治療におけるShared Decision Making(シェアード・ディシジョン・メイキング)の課題が浮き彫りとなりました。

前立腺がんは日本人男性において罹患数が最も多いがんであり、50代ごろから罹患が増え始め、早期
ステージでの発見が多く、進行も比較的緩やかなことが多いと言われています(1-4)。治療においては、男性ホルモンの分泌や作用を抑制するホルモン療法がおこなわれることが一般的ですが、一部の患者さんではその治療効果が薄れ、悪性度の高い転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)へ進行することがあり(3,5)、mCRPCと診断されてからの生存期間は、患者さんにもよりますが、およそ3年と言われています(6)。この数年で、前立腺がんの検査や治療法は大きく進歩し(6)、患者さん一人ひとりの希望に合った治療を医療従事者とともに決定していくShared Decision Makingがより一層重要になってきています。
≪調査結果ハイライト≫
1. 治療選択時において、患者さんが最も知りたいと思った項目は、全体では「担当医が最も薦める治療」(64%)であり、転移性前立腺がん(mPC)患者さんでは、「治療効果がどの程度の期間、期待できるか」「治療が効かなくなった場合の次の選択肢」「薬の名前」といった項目に対する関心が、全体と比較して高かった。
2. 治療選択肢の提示において、「1つ提示」を希望した患者さんは、全体では13%、mPCでは35%だったが、実際1 つ提示されたと回答したのは全体で26%、mPC患者さんでは52%だった。全体で87%、mPCでは65%と、患者さんの多くは「複数提示」を希望していたが、実際に複数提示されたのはそれぞれ72%、48%にとどまった。
3. 患者さん全体の29%となる150名が治療に対する要望を伝えていなかった。また、要望を伝えなかった患者さんのうち、要望があったにもかかわらず伝えていなかった患者さんが59%おり、そのうちの65%の患者さんが医師から治療に対する要望を確認されていなかった。
4. 遺伝子検査について「聞いたことがあり、意味も知っている」と回答した患者さんは、前立腺がん患者さん全体では17%、mPC患者さんにおいては25%であった。また、mPC患者さんで遺伝子検査の説明を受けたのは8%にとどまり、90%が説明を受けていなかった。
5. 医師とのコミュニケーションに満足した患者さんは、治療満足度も高く、コミュニケーションに不満があった患者さんは、治療満足度も低い傾向が見られた。

1. 治療選択時において、患者さんが最も知りたいと思った項目は、全体では「担当医が最も薦める治療」(64%)であり、転移性前立腺がん(mPC)患者さんにおいては、「治療効果がどの程度の期間、期待できるか」「治療が効かなくなった場合の次の選択肢」「薬の名前」といった項目に対する関心が、全体と比較して高かった。
治療選択時に必要とする情報やサポートについて伺ったところ、全体の64%の患者さんが「担当医が最も薦める治療」と回答しました。また、mPC患者さんにおいては、「治療効果がどの程度の期間、期待できるのか」、「治療が効かなくなった場合の次の選択肢」や「薬の名前」といった項目に対する関心が、全体と比較して高く、進行度の差によって、関心のある項目に違いがあることが示されました。



2. 治療選択肢の提示において、「1つ提示」を希望した患者さんは、全体では13%、mPC では35%
だったが、実際1 つ提示されたと回答したのは全体で26%、mPC 患者さんでは52%だった。全体で
87%、mPCでは65%と、患者さんの多くは「複数提示」を希望していたが、実際に複数提示されたのはそれぞれ72%、48%にとどまった。
治療選択肢の提示について希望を伺ったところ、「治療選択肢を1 つ提示される」と回答した患者さんは全体では13%、mPCでは35%でしたが、実際1 つ提示されたと回答した患者さんは全体では26%、mPCでは52%でした。また、全体では87%、mPCでは65%と多くの患者さんは、「複数提示(「治療選択肢を複数提示され、特に1つを薦められる」「治療選択肢を複数提示され、どれも同じように説明される」の合計)」を希望していましたが、実際に複数提示されたと回答した患者さんは全体では72%、mPCでは48%であり、いずれも希望より実際は低い割合にとどまり、いずれも患者さんの希望と実際の間に差のあることが明らかとなりました。



3. 患者さん全体の29%となる150名が治療に対する要望を伝えていなかった。また、要望を伝えなかった患者さんのうち、要望があったにもかかわらず伝えていなかった患者さんが59%おり、そのうちの
65%の患者さんが医師から治療に対する要望を確認されていなかった。
患者さんの治療に対する要望が医師と共有されているかを確認したところ、患者さん全体の28%、mPCでは42%が、「治療を選択する際に、医師から治療に対する要望などがあるかの確認はありましたか」に対し「確認されなかった」と回答しました。また、全体の29%、mPCでは42%の患者さんが「医師に治療に対する要望を伝えましたか」との質問に対し、「伝えなかった」と回答しました。要望を伝えなかった患者さん(全体の29%:150 名)のうち、要望があったにもかかわらず伝えなかった患者さんは89名(59%)存在し、これらの患者さんの65%にあたる58名は医師から治療に対する要望を確認されていませんでした。こうした結果から、患者さんの要望が医師と適切に共有されていない場合も少なくないと考えられ、前立腺がん治療におけるShared Decision Makingの課題が示唆されました。






4. 遺伝子検査について「聞いたことがあり、意味も知っている」と回答した患者さんは、前立腺がん患者さん全体では17%、mPC患者さんにおいては25%であった。また、mPC 患者さんで遺伝子検査
の説明を受けたのは8%にとどまり、90%が説明を受けていなかった。
前立腺がんにおいても、この数年で検査や治療法が大きく進歩しており6、患者さん一人ひとりの症状や病態に応じた個別化医療が推進されています。しかしながら、前立腺がんの患者さんにおいては、個別化医療について、「聞いたことがあり、意味も知っている」と回答した患者さんは、全体で5%、mPCでも6%と一桁台にとどまり、その認知度は低いことが示されました。また、遺伝子変異の有無が前立腺がんの発症、治療予後や特定の薬剤の効果に影響する場合がありますが、遺伝子検査についても、「聞いたことがあり、意味も知っていると回答した患者さんは、全体で17%、mPCでは25%でした。また、mPC患者さんのうち90%は、遺伝子検査について説明を受けなかったと回答しました。



5. 医師とのコミュニケーションに満足した患者さんは、治療満足度も高く、コミュニケーションに不満があった患者さんは、治療満足度も低い傾向が見られた。
医師とのコミュニケーションの満足度と治療満足度の関係性をみたところ、医師とのコミュニケーションに満足だった(6段階中4以上)と回答した患者さんの98%が治療にも満足していたことが明らかとなりました。一方で、コミュニケーションに不満だった(6段階中3以下)と回答した患者さんの治療満足度は低く、治療に満足したと回答した患者さんは39%でした。このことから、コミュニケーションの満足度と治療満足度には関連性のあることが考えられ、Shared Decision Makingの重要性が改めて認識される結果となりました。




調査概要:前立腺がんの治療選択における、患者さんの情報提供に対するニーズおよび医療従事者との
コミュニケーションと治療満足度の関係性を調べるインターネット調査
調査期間:2024年2月28日(水)~3月10日(日)
調査対象:前立腺がんと診断されたことのある方525名
(転移性前立腺がん:52名、非転移性前立腺がん:473名)
調査方法:インターネット調査(調査委託先:株式会社メディリード)
調査結果の詳細は、こちらのURLよりご確認ください
https://www.astrazeneca.co.jp/content/dam/az-jp/press-releases/pdf/202411_pc.pdf

以上

*****
前立腺がんについて
前立腺がんは、日本において、男性のがんで最も多く、2023年に新たに9万8600人が罹患、1万4000人が死亡したと推計されています(1)。転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者さんの全生存期間は、臨床試験では約3年で、実臨床ではさらに短いことが報告されています(6)。mCRPC患者さんの約半数は、一次治療までしか受けられておらず、二次治療以降の後治療は一次治療に比べて効果が限定的です(7-12)。

アストラゼネカの前立腺がん患者さん向け情報サイト
アストラゼネカでは、「What‘s? 前立腺がん」 https://www.zenritsusen.jp/を通じて、前立腺がん早期発見のためのPSA 検査、前立腺がんの疾患情報・治療についての分かりやすい説明に加え、患者さんの体験談といった、患者さんに寄り添った情報を提供しています。前立腺がんのほかにも、さまざまながんの情報サイトを運営しています。がん全般(「がんになっても」https://www.az-oncology.jp/)、肺がん( 「肺がんとともに生きる」https://www.haigan-tomoni.jp/ ) 、乳がん( 「乳がん.jp 」https://www.nyugan.jp)、卵巣がん(「卵巣がん.jp」https://www.ransogan.jp)、慢性リンパ性白血病(「CLL ライフ」https://www.cll-life.jp/)、肝臓がん(「肝臓がんと『自分らしく』」https://www.az-oncology.jp/kanzogan/)、胆道がん(「教えて、胆道がん」https://www.azoncology.jp/tandogan/

アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。

アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。

アストラゼネカはがん治療を再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については https://www.astrazeneca.com または、ソーシャルメディア@AstraZeneca をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。FacebookInstagramYouTube もフォローしてご覧ください。

References
1. 国立がん研究センター がん情報サービス 「がん統計予測」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html(2024年10月アクセス時)
2. 国立がん研究センター がん情報サービス 「最新がん統計」 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html(2024年10月アクセス時)
3. What’s?前立腺がん AstraZeneca https://www.zenritsusen.jp/digest/con01-4.html(2024年10月アクセス時)
4. 国立がん研究センター 「院内がん登録 2022年全国集計」 https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/pdf/2022_report.pdf(2024年10月アクセス時)
5. Chowdhury S, et al. Real-World Outcomes in First-Line Treatment of Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer: The Prostate Cancer Registry. Target Oncol. 2020;15(3):301-315.
6. Ng K, et al. Metastatic Hormone-Sensitive Prostate Cancer (mHSPC): Advances and Treatment Strategies in the First-Line Setting. Oncol Ther. 2020;8:209-230.
7. George DJ, et al. Treatment Patterns and Outcomes in Patients with Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer in a Real-World Clinical Practice Setting in the United States. Clin Genitourin Cancer. 2020;18:284-294.
8. de Bono J, et al. Antitumour Activity and Safety of Enzalutamide in Patients with Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer Previously Treated with Abiraterone Acetate Plus Prednisone for ≥24weeks in Europe. Eur Urol. 2018;74(1):37-45.
9. Hussein M, et al. Prostate-Specific Antigen Progression Predicts Overall Survival in Patients with Metastatic Prostate Cancer: Data from Southwest Oncology Group Trials 9346 (Intergroup Study 0162) and 9916. J Clin Oncol. 2009;27(15):2450.
10. de Wit, R, et al. Real-World Evidence of Patients with Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer Treated with Cabazitaxel: Comparison with the Randomized Clinical Study CARD. Prostate Cancer Prostatic Dis. 2023 Mar;26(1):67-73.
11. Ryan C, et al. Abiraterone Acetate Plus Prednisone Versus Placebo Plus Prednisone in Chemotherapy-Naive Men with Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer (COU-AA-302): Final Overall Survival Analysis of a Randomised, Double-Blind, Placebo-Controlled Phase 3 Study. Lancet Oncol. 2015 Feb;16(2):152-60.
12. Miller K, et al. The Phase 3 COU-AA-302 Study of Abiraterone Acetate Plus Prednisone in Men with Chemotherapy-Naïve Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer: Stratified Analysis Based onPain, Prostate-Specific Antigen, and Gleason Score. Eur Urol. 2018;74(1):17-23.
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