がん研究会が開発する「統合がん臨床データベース」の研究に3施設が初めて連携し、日本の医薬品開発に向けた社会実装を開始
公益財団法人がん研究会
愛知県がんセンター、静岡がんセンター、がん・感染症センター 都立駒込病院が共同研究開発機関として参画
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)*1研究開発事業テーマにおける課題「統合型ヘルスケアシステムの構築」*2に向け、公益財団法人がん研究会 有明病院(病院長:佐野武、所在地:東京都江東区、以下、がん研有明病院)が進める、「B-1 がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」(以下、本研究)に、このたび愛知県がんセンター(総長:丹羽康正、病院長:山本一仁、所在地:愛知県名古屋市)、静岡県立 静岡がんセンター(総長:上坂克彦、病院長:小野裕之、所在地:静岡県駿東郡長泉町)、地方独立行政法人東京都立病院機構 がん・感染症センター 都立駒込病院(病院長:戸井雅和、所在地:東京都文京区)の3施設が、共同研究開発機関として初めて参画しました。
がん研有明病院では、電子カルテや部門システム等の様々なデータベースに分散したがん診療情報を自動的・半自動的に取り込み一元管理する仕組みとして、2017年から「統合がん臨床データベース」の独自開発を行ってきました。本データベースによって院内のデータ管理だけでなく、製薬業界との連携により効率的かつ迅速な医薬品開発への応用が期待されることから、内閣府SIP第3期において、中核的ながん専門医療機関との連携を進め、多施設統合がん臨床データベースを構築して、社会実装していくことを目指しています。
各施設のデータベースを連携したものが多施設統合がん臨床データベースになるため、導入する施設が増えることで、より多くのがんの臨床データを集積できるようになります。さらに、データベースに実装されているアプリケーションを活用することで、従来は手作業で数週間を要していたグローバル治験患者リクルートのためのデータ検索については数分で絞り込みが可能であり、迅速な治験マッチングや、豊富な臨床データを活用した日本発の医薬品・医療機器開発につながることが期待されます。
この度の3施設の参画は、この多施設統合がん臨床データベース構築の重要な第一歩であり、これを皮切りに、今後より多くの中核的ながん専門医療機関との連携を進めて参ります。
*1 SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とは
内閣府に 設置された総合科学技術・イノベーション会議(CSTI) が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。真に重要な社会的課題や、日本経済再生に寄与できるような世界を先導する課題に取り組んでいます。各課題を強力にリードするプログラムディレクター(PD)を中心に産学官連携を図り、基礎研究から実用化・事業化、すなわち社会実装までを見据えて一気通貫で研究開発を推進しています。戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー) - 科学技術・イノベーション - 内閣府 (cao.go.jp)
*2 SIP第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」ホーム|国立国際医療研究センター (ncgm.go.jp)
【各施設のコメント】
●がん研有明病院 佐野武病院長のコメント
「当院は日本で最初のがんの専門病院であり、その積み重ねてきた臨床実績をデータベースとしてがん治療の課題解決に活用することは、当院の果たすべき責務のひとつであると考えています。このたび、がん治療で実績のある3施設の連携により本研究は新たな局面を迎えることとなり、課題解決にむけて着実に歩みを進められることを大変うれしく思っております。」
●愛知県がんセンター 山本一仁病院長のコメント
「当院の診療情報、診療実績を、がん診療を中心的におこなっている他施設の臨床データと統合し、医療情報を共有化することで、患者支援やがん医療の問題解決につながることは素晴らしい取組みであると考えています。この取組みは診療の効率化や治験・臨床試験ではみることができないリアルワールドデータの提供にもつながり、より臨床現場に近いエビデンスを提供するもので、価値のあるデータの創出に期待しています。」
●静岡がんセンター 小野裕之病院長のコメント
「多施設がん統合データベースにより、広範なデータを活用し、より効果的かつ個別化された治療法の開発が期待されます。また、他の医療機関との協力により、研究や診断の精度が向上し、患者さんにとって最適な治療が提供されることに繋がると思います。」
●がん・感染症センター 都立駒込病院 戸井雅和病院長のコメント
「駒込病院は総合診療基盤を有するがん専門病院です。当院のがん登録の歴史は古く、1985年から臨床データを蓄積してきました。共同させていただく3施設と当院のデータを集積することで、グローバルなリアルワールドデータを提供できると考えております。東京都のがん診療連携拠点病院の責務として、本研究に参加し、がん治療開発を進めて参ります。」
【「B-1 がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」について】
目的
がん領域における『知識発見』と『質の高い医療提供』の自律的循環を支える医療情報基盤の
構築
社会実装
上記の目的を達成するために3つの取組みを設定しています。
社会実装1. がん診療に関する臨床データ収集データベースの社会実装
がん研究会で構築を進めてきた、必要なデータ収集の自動化ならびに転記作業の半自動化を実現するデータベースを、汎用的に使える標準的なシステムに作り変えて、複数のがん専門医療機関への導入を進める。
社会実装2.がん薬物療法支援アプリ(患者支援プログラム)の社会実装
がん研究会をフィールドとして研究開発を行ってきた「がん薬物療法問診」を発展させて、患者さん個別の症状マネージメントや日常生活・社会活動に関する支援情報等の提供を通じて、がん治療の完遂をサポートする。
社会実装3.がん治療に関する知識構築(製薬企業協働)
多施設でのデータ集積を進め、治験関連におけるデータ活用によるドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消や企業とのニーズマッチングなど、がん治療の課題解決につながる医療情報基盤を構築する。
展望
より多くの中核的ながん専門医療機関への統合がん臨床データーベースの導入を促進し、集積したデータは迅速な治験マッチングや日本発の医薬品・医療機器開発の促進等のがん治療の発展に活用し、本研究の目的である「がん領域における『知識発見』と『質の高い医療提供』の自律的循環を支える医療情報基盤の構築」の達成を目指していきます。
将来のがん医療の発展にも資するがんに関する診療データと医薬品/医療提供が持続的に循環するようなビジネスモデルを作り上げていきます。
詳しくは「SIP第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」2023年度公開シンポジウム」をご覧ください。(「B-1 がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」の説明は40分頃よりはじまります)
■がん研究会について
がん研究会は、「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」ことを基本理念として掲げ、研究所と病院が一体となってがんの本態と個性を明らかにし、がんの診断・治療・予防に貢献すると共に、生命科学の先端を開拓することを目指しています。その実現に向けて、新薬開発のための臨床試験(治験)や、新たな治療法・診断法の開発につながる臨床研究を積極的に実施しています。また、基礎研究を診断・治療法の開発へつなげる橋渡し研究、いわゆる「トランスレーショナルリサーチ」も推進しています。
Web:https://www.jfcr.or.jp/
■愛知県がんセンターについて
愛知県がんセンターは1964年にがん研究会、国立がん研究センターに次いで設立され、我が国の3大comprehensive cancer center(病院と研究所を併設する総合がんセンター)の一つとして、60年余に渡って実績と信頼を築いて来ました。病院と研究所が併設されている強みを存分に活かし、科学的なエビデンスをもとに、現在ある最良の医療を提供するとともに、新しいエビデンスの創出、明日のより良い医療、がんにならないための予防法の創出に向け、まい進しています。
Web:https://cancer-c.pref.aichi.jp/
■静岡がんセンターについて
静岡がんセンターは「患者さんの視点を重視」を基本理念とし、病院、研究所、疾病管理センターの3つの組織が一体となって、理想のがん医療を目指して、最善のがん医療の提供と徹底した患者家族支援を日々追求して活動しています。2002年の開院以来、多職種チーム医療体制で患者さんを治し、支える仕組みを構築。現在、615床、うち緩和ケア病棟50床。特定機能病院、がんゲノム医療中核拠点病院、都道府県がん診療連携拠点病院等。
Web:https://www.scchr.jp/
■がん・感染症センター 都立駒込病院について
都立駒込病院は総合診療基盤を有し、がんと感染症医療に重点を置いた病院です。行政的医療や複雑な病態、難治性の疾患に対する高度専門医療を提供しています。がん医療においては、東京都のがん診療連携拠点病院および造血幹細胞移植推進拠点病院としてまとめ役を担っています。感染症医療においては、第一種・第二種感染症指定医療機関及びエイズ診療中核拠点病院の役割を果たしています。また、臨床研究や治験へも積極的に取り組み、新たな医薬品・医療機器の開発や治療法の確立を通じて、医療の質の向上を目指しています。
Web: https://www.tmhp.jp/komagome/
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愛知県がんセンター、静岡がんセンター、がん・感染症センター 都立駒込病院が共同研究開発機関として参画
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)*1研究開発事業テーマにおける課題「統合型ヘルスケアシステムの構築」*2に向け、公益財団法人がん研究会 有明病院(病院長:佐野武、所在地:東京都江東区、以下、がん研有明病院)が進める、「B-1 がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」(以下、本研究)に、このたび愛知県がんセンター(総長:丹羽康正、病院長:山本一仁、所在地:愛知県名古屋市)、静岡県立 静岡がんセンター(総長:上坂克彦、病院長:小野裕之、所在地:静岡県駿東郡長泉町)、地方独立行政法人東京都立病院機構 がん・感染症センター 都立駒込病院(病院長:戸井雅和、所在地:東京都文京区)の3施設が、共同研究開発機関として初めて参画しました。
がん研有明病院では、電子カルテや部門システム等の様々なデータベースに分散したがん診療情報を自動的・半自動的に取り込み一元管理する仕組みとして、2017年から「統合がん臨床データベース」の独自開発を行ってきました。本データベースによって院内のデータ管理だけでなく、製薬業界との連携により効率的かつ迅速な医薬品開発への応用が期待されることから、内閣府SIP第3期において、中核的ながん専門医療機関との連携を進め、多施設統合がん臨床データベースを構築して、社会実装していくことを目指しています。
各施設のデータベースを連携したものが多施設統合がん臨床データベースになるため、導入する施設が増えることで、より多くのがんの臨床データを集積できるようになります。さらに、データベースに実装されているアプリケーションを活用することで、従来は手作業で数週間を要していたグローバル治験患者リクルートのためのデータ検索については数分で絞り込みが可能であり、迅速な治験マッチングや、豊富な臨床データを活用した日本発の医薬品・医療機器開発につながることが期待されます。
この度の3施設の参画は、この多施設統合がん臨床データベース構築の重要な第一歩であり、これを皮切りに、今後より多くの中核的ながん専門医療機関との連携を進めて参ります。
*1 SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とは
内閣府に 設置された総合科学技術・イノベーション会議(CSTI) が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。真に重要な社会的課題や、日本経済再生に寄与できるような世界を先導する課題に取り組んでいます。各課題を強力にリードするプログラムディレクター(PD)を中心に産学官連携を図り、基礎研究から実用化・事業化、すなわち社会実装までを見据えて一気通貫で研究開発を推進しています。戦略的イノベーション創造プログラム(SIP:エスアイピー) - 科学技術・イノベーション - 内閣府 (cao.go.jp)
*2 SIP第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」ホーム|国立国際医療研究センター (ncgm.go.jp)
【各施設のコメント】
●がん研有明病院 佐野武病院長のコメント
「当院は日本で最初のがんの専門病院であり、その積み重ねてきた臨床実績をデータベースとしてがん治療の課題解決に活用することは、当院の果たすべき責務のひとつであると考えています。このたび、がん治療で実績のある3施設の連携により本研究は新たな局面を迎えることとなり、課題解決にむけて着実に歩みを進められることを大変うれしく思っております。」
●愛知県がんセンター 山本一仁病院長のコメント
「当院の診療情報、診療実績を、がん診療を中心的におこなっている他施設の臨床データと統合し、医療情報を共有化することで、患者支援やがん医療の問題解決につながることは素晴らしい取組みであると考えています。この取組みは診療の効率化や治験・臨床試験ではみることができないリアルワールドデータの提供にもつながり、より臨床現場に近いエビデンスを提供するもので、価値のあるデータの創出に期待しています。」
●静岡がんセンター 小野裕之病院長のコメント
「多施設がん統合データベースにより、広範なデータを活用し、より効果的かつ個別化された治療法の開発が期待されます。また、他の医療機関との協力により、研究や診断の精度が向上し、患者さんにとって最適な治療が提供されることに繋がると思います。」
●がん・感染症センター 都立駒込病院 戸井雅和病院長のコメント
「駒込病院は総合診療基盤を有するがん専門病院です。当院のがん登録の歴史は古く、1985年から臨床データを蓄積してきました。共同させていただく3施設と当院のデータを集積することで、グローバルなリアルワールドデータを提供できると考えております。東京都のがん診療連携拠点病院の責務として、本研究に参加し、がん治療開発を進めて参ります。」
【「B-1 がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」について】
目的
がん領域における『知識発見』と『質の高い医療提供』の自律的循環を支える医療情報基盤の
構築
社会実装
上記の目的を達成するために3つの取組みを設定しています。
社会実装1. がん診療に関する臨床データ収集データベースの社会実装
がん研究会で構築を進めてきた、必要なデータ収集の自動化ならびに転記作業の半自動化を実現するデータベースを、汎用的に使える標準的なシステムに作り変えて、複数のがん専門医療機関への導入を進める。
社会実装2.がん薬物療法支援アプリ(患者支援プログラム)の社会実装
がん研究会をフィールドとして研究開発を行ってきた「がん薬物療法問診」を発展させて、患者さん個別の症状マネージメントや日常生活・社会活動に関する支援情報等の提供を通じて、がん治療の完遂をサポートする。
社会実装3.がん治療に関する知識構築(製薬企業協働)
多施設でのデータ集積を進め、治験関連におけるデータ活用によるドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの解消や企業とのニーズマッチングなど、がん治療の課題解決につながる医療情報基盤を構築する。
展望
より多くの中核的ながん専門医療機関への統合がん臨床データーベースの導入を促進し、集積したデータは迅速な治験マッチングや日本発の医薬品・医療機器開発の促進等のがん治療の発展に活用し、本研究の目的である「がん領域における『知識発見』と『質の高い医療提供』の自律的循環を支える医療情報基盤の構築」の達成を目指していきます。
将来のがん医療の発展にも資するがんに関する診療データと医薬品/医療提供が持続的に循環するようなビジネスモデルを作り上げていきます。
詳しくは「SIP第3期「統合型ヘルスケアシステムの構築」2023年度公開シンポジウム」をご覧ください。(「B-1 がん診療についての統合的臨床データベースの社会実装」の説明は40分頃よりはじまります)
■がん研究会について
がん研究会は、「がん克服をもって人類の福祉に貢献する」ことを基本理念として掲げ、研究所と病院が一体となってがんの本態と個性を明らかにし、がんの診断・治療・予防に貢献すると共に、生命科学の先端を開拓することを目指しています。その実現に向けて、新薬開発のための臨床試験(治験)や、新たな治療法・診断法の開発につながる臨床研究を積極的に実施しています。また、基礎研究を診断・治療法の開発へつなげる橋渡し研究、いわゆる「トランスレーショナルリサーチ」も推進しています。
Web:https://www.jfcr.or.jp/
■愛知県がんセンターについて
愛知県がんセンターは1964年にがん研究会、国立がん研究センターに次いで設立され、我が国の3大comprehensive cancer center(病院と研究所を併設する総合がんセンター)の一つとして、60年余に渡って実績と信頼を築いて来ました。病院と研究所が併設されている強みを存分に活かし、科学的なエビデンスをもとに、現在ある最良の医療を提供するとともに、新しいエビデンスの創出、明日のより良い医療、がんにならないための予防法の創出に向け、まい進しています。
Web:https://cancer-c.pref.aichi.jp/
■静岡がんセンターについて
静岡がんセンターは「患者さんの視点を重視」を基本理念とし、病院、研究所、疾病管理センターの3つの組織が一体となって、理想のがん医療を目指して、最善のがん医療の提供と徹底した患者家族支援を日々追求して活動しています。2002年の開院以来、多職種チーム医療体制で患者さんを治し、支える仕組みを構築。現在、615床、うち緩和ケア病棟50床。特定機能病院、がんゲノム医療中核拠点病院、都道府県がん診療連携拠点病院等。
Web:https://www.scchr.jp/
■がん・感染症センター 都立駒込病院について
都立駒込病院は総合診療基盤を有し、がんと感染症医療に重点を置いた病院です。行政的医療や複雑な病態、難治性の疾患に対する高度専門医療を提供しています。がん医療においては、東京都のがん診療連携拠点病院および造血幹細胞移植推進拠点病院としてまとめ役を担っています。感染症医療においては、第一種・第二種感染症指定医療機関及びエイズ診療中核拠点病院の役割を果たしています。また、臨床研究や治験へも積極的に取り組み、新たな医薬品・医療機器の開発や治療法の確立を通じて、医療の質の向上を目指しています。
Web: https://www.tmhp.jp/komagome/
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(2024/11/26 16:00)
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