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てんかん患者100万人
高齢者で発症増加

 「てんかん」という病名を知っている人も多いだろう。しかし、患者が100万人に上ることや高齢になると発症率が増加することはあまり知られていない。さらに、てんかんの症状に詳しい一般医が少ないという課題もある。専門医に症状や知識を普及するための対策などを聞いた。

てんかんの発症は子どもと高齢者に多い

 ◇さまざまな病気の集合体

 「てんかんは一つの疾患ではなく、いろいろな病気の寄せ集めだと考えてほしい」。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・脳神経機能外科学分野の前原健寿教授はこう話す。

 高齢発症の患者では脳梗塞になったり、頭に傷を負ったりすることが原因となり、てんかんを発症することもある。てんかんは繰り返して発作が起きる病気だ。かつては1回の発作だとてんかんと診断されなかったが、国際てんかん連盟は定義を変更し、初回発作でも、発作を繰り返す可能性の高い場合にはてんかんとしての治療を始めてもよい、としている。

 ◇65歳以上、子ども上回る

 てんかんは子どもの病気だと思われがちだ。しかし、前原教授は「確かにてんかんの患者は小児に多く認められるが、大人になってから初めて発症する人も多い」と指摘する。60~70代で初発発作の患者は増加し、65歳以上では子どもよりも多く発症する。

 前原教授は「加齢による脳の変化もその一因だ」と説明する。若い人の場合は1回発作を起こしても、次に発作を起こす確率は小さい。だが、高齢者は発作を繰り返すことが多い。

前原健寿・東京医科歯科大学教授

 ◇「口もごもご」も兆候

 てんかんと思われる症状にはどんなものがあるのか。高齢発症者では脳の海馬が原因の側頭葉てんかんが多い。口をもごもごさせたり、ボケッとする時間が多くなったりすることもサインの一つだという。

 「てんかんには、部分的なてんかんと全般的なてんかんがある。全身がけいれんする以外にも意識を失ったり、頭にかすみがかかったような状態になったりすることもある。つまりけいれんを伴わないてんかんもあることは知っておく必要がある」

 ◇難しい患者への問診

 診断は、発作型の解析と脳波の検査と脳の画像診断を基に行う。ただ、前原教授は「脳波を正確に読むことができる医師が減っているのではないか」と危惧する。また、患者自身への問診には難しい面がある。

 「発作が原因で、自分の記憶をなくしてしまうこともある。患者自身に聞いても正確な状況は分からないことが多いからだ」。患者からの情報よりも発作を目撃した家族や同僚からの情報が役立つことも多い。

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