夏休み明け前後に子どもが自殺
衝動的に死を選ぶ
中学生の登校風景(写真は本文とは関係ありません)
◇子どもの様子に注意を
「周囲が注意すべき点は、言葉には現れない部分で、例えば食欲や体重の減少。外出しないで自室に引きこもったり、入浴もしなかったりする、などの活動性の低下といった身体的な変化だ。こうした変化が見られるかどうか、保護者らは子どもの様子に注意してほしい」
小野教授はさらに「夏休み中の家族旅行などに『自分は家に残りたい』と言い出す。家族で外出した際にも一人だけつまらない様子だった、などという場合は特に注意してほしい」とアドバイスする。
学校でいじめを受けていたことが分かっていれば、より注意が必要だ。夏休みの間はいじめのストレスから解放されていたことで、ある程度の回復が期待できる。
しかし、2学期になって再度ストレスにさらされると、「こんなにつらい日々がまた続くのか」と、より大きなストレスが襲って来る。一方、うつ病ではある程度回復した段階で自殺率が上がることが知られており、2学期の初めはこの二つの要素が重なる時期になる。
小野和哉・聖マリアンナ医科大学特任教授
◇無理しなくてもいい
保護者にとって大事なのは、まずは「無理をしなくてもいいよ」というメッセージを子どもに伝えることだ。小野教授は「今はフリースクールや単位制の学校も整備が進んでいて、教育の場は子どもに合わせて多様化しつつある。保護者の側もまずは頭ごなしに叱らずに、『学校には、行そうな日の行ける時間だけ、通学してみたら』というスタンスで対応してほしい」と言う。
その上で、子供の状態が変わらなかったり、食欲不振などの身体の症状が強まったりした場合は、できれば「子どものこころの専門医」のいる児童精神科、小児科を受診し、学校環境の調整などのアドバイスを受けることが良いのではないだろうか。(喜多壮太郎・鈴木豊)
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(2019/09/05 07:00)