冬場の食中毒に注意
ノロウイルス、感染防止・予防対策
美島副部長は「こうした作業の時もマスクと手袋の着用を忘れないようにしたい。換気も大切なので、臭いが消える程度に窓を開けたり換気扇を回したりしてほしい」と注意喚起する。もう一つ重要なのが、患者が触ったトイレのドアノブや排水スイッチ、手洗いの蛇口などの消毒だ。これらは患者が使用した後、消毒液を浸したペーパータオルで必ず拭き、食器やタオルなども共用せずにして、熱湯消毒も欠かさないようにしよう。
「アルコール消毒液はノロウイルスには効果が限定的なため、市販の次亜塩素酸ナトリウム液を薄めて使うのが便利だ。汚物の処理などには濃度0.1%が、ドアノブなどの消毒には0.02%程度で十分。ただ紫外線に弱いので日陰に保管することや、日持ちはしないので、毎日、つくることを心がけたい」とアドバイスしている。
日本食品衛生協会課長補佐の神薗紀子さん
◇予防の鍵は手洗い
2013年の厚生労働省の調査によれば、ノロウイルスの食中毒の発生要因は飲食店などの調理従事者が85%とされる。手洗いは、人の手を介して感染するノロウイルスの感染予防の鍵となる対策だ。それは、家庭においても共通する。ただ、手はさまざまな「パーツ」に分かれているため、洗い残しが生じやすい。日本食品衛生協会出版部製制作課課長補佐の神薗紀子さんにポイントを尋ねた。
「まず、シワの間には大量のノロウイルスが入り込む。手の甲では、関節と関節の間に洗い残しが多くなる。指先や爪と皮膚の間も、」と神薗さん。手のひらのシワについては、石けん液でウイルスを浮かび上がらせることが大事だ。この際、ぬるま湯で洗うとシワが柔らかくなり効果が増す。甲は手を丸くして反対側の手の指の背などを洗う。「利き手で利き手ではない側の手は洗いやすいが、逆に利き手側をある洗うのは難しい」。なるほど、言われてみればその通りだ。
◇とにかく小まめに
では、手を洗うタイミングはどうか。神薗さんによれば、汚れた物に触った後で、きれいな食器などに触る。トイレで用を足した後。肉や魚、洗っていない野菜などに触れた後―などを挙げる。調理従事者は手袋を着用することも多い。しかし、着用前に手を洗わないと適切なタイミングでの手洗いをしなくなる可能性も出て来るので、特に手洗いのタイミングは気を付ける必要があると神薗さんは指摘するとともに、「とにかく小まめに手を洗ってほしい」と強調した。
日常生活にでは、どんな点に気を配ればよいだろう。子どもはいろいろな物に触る機会が多い。学校や外で遊んでいて帰ってきた時には、保護者が手を洗うようにさせる。学校でも校庭で運動などをして教室に戻る時や給食の配膳係を務める前には手を洗うことだ。さらに神薗さんは「小さな子どもはご飯やおかずなどをよくこぼす。親は手でつまんで食べさせることも多い。子どもや高齢者 は感染しやすいので、食事前の手洗いも重要だ」と付け加えた。(喜多壮太郎・鈴木豊)
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(2020/01/09 07:00)