治療・予防

思春期以降に発症―わきが 
生活習慣の改善を

 わきがは医学的には腋臭症(えきしゅうしょう)と呼び、脇の下から発する特有の臭いに悩まされる。思春期以降に出現し、周囲の人や家族から指摘されて受診するケースも少なくない。日本医科大学武蔵小杉病院(川崎市)形成外科の有馬樹里医師は「わきがの治療は、制汗剤の使い方や食生活など、身近なところから改善に取り組むといいでしょう」とアドバイスする。 

まずは身近な生活習慣の改善から。制汗剤の使い方にもこつが

まずは身近な生活習慣の改善から。制汗剤の使い方にもこつが

 ▽体質と生活習慣が影響

 汗を出す汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺の2種類がある。わきがの原因になるのはアポクリン腺で、耳の中の外耳道や脇、陰部などの有毛部に分布し、思春期以降に発達するといわれている。アポクリン腺から出る汗は低級脂肪酸という皮脂を含んでいるためベタベタし、これが皮膚の常在菌によって分解されると、強い臭いを発するようになる。

 有馬医師によると、わきがは体質と生活習慣に大きく左右されるという。「多汗症や湿った耳あかの人は体質的にわきがになりやすく、脂肪分が多い食事やストレス、睡眠不足などの生活習慣もわきがを悪化させます」と説明する。中には、わきがではないのに過剰に臭いを気にする人もいるので、治療が必要かを判断するために、発症年齢や経過、家族歴などの問診を行う。同時にガーゼを患者の脇に挟み、問診終了後に第三者が臭いを確認する方法を取ることもある。

 ▽制汗剤や手術も

 わきがの対策として、まず身近な生活習慣の改善から行う。「細菌の繁殖を抑えるために除毛し、薬用せっけんを使って体を洗うなど、皮膚を清潔に保つようにします。服は風通しの良い綿素材にし、規則正しい生活を送ることも大事です」と有馬医師。意外と知られていないのが制汗剤の使い方だという。「制汗剤は、汗をかいた上から使うのではなく、入浴後やアルコール綿などで汗と皮脂をきれいに拭き取ってから使うと効果的です」とアドバイスする。自費診療だが医療用制汗剤もある。主成分の塩化アルミニウムが汗腺に入り込んでふたをするので、汗を止める効果が高いという。

 こうした対策を行っても臭いが軽減せず、生活上困る場合は手術を行う。同院では脇の下の皮膚を切って裏返し、アポクリン腺を一つずつ切除する手術を行っていて、保険診療で受けられる。ただしアポクリン腺を100%取り除くことは難しく、また切開するので傷痕が残るのは避けられない。

 有馬医師は「わきがは普段の食事や生活習慣を見直すだけで、かなり臭いが抑えられます。病院を受診する前に、要因のうち自分で改善可能なものがないか一度振り返ってみてください」と話している。(メディカルトリビューン=時事)


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