治療・予防

極度のきれい好き、それって病気?
潔癖症と強迫性障害の境界線

 清潔志向が高じて、他人が触ったドアノブやつり革、エレベーターのボタンが触れない人もいるという。こうした過度な潔癖症と心身の病気の違いについて、「もも こころの診療所」(東京都千代田区)のカウンセラーで認定行動療法士の有園正俊さんは「潔癖症の人は自分の志向でやっている感じですが、精神疾患である強迫性障害の人は自分の意に反してやらされている面もあるので苦痛が伴います」と説明する。

 ◇社会生活に影響も

 きれい好きや潔癖症は個人の癖のようなもので、身の回りをきれいにするための行動が多少度を越しても、自分でコントロールできている限り問題はない。一方、強迫性障害は社交不安障害やパニック障害などと同じ精神疾患の一つで、ウイルスや菌、他人のつばや汗、ごみ、排せつ物などの汚染を極度に避けるといった症状が表れる。誰でも汚れた物は触りたくないものだが、問題は避け方が過剰なこと。ただ触れたくないだけでなく、触ると何か不吉なことが起こるに違いないとまで考えてしまうという。

 「洗浄・入浴を過剰に行う強迫行為を止められないタイプでは、入浴やその前後の着替えが段取り通りにできないとやり直さずにはいられず、時間がかかるだけでなく、行為の最中は失敗しないよう常に緊張しているので疲れてしまうのです」と有園さん。重症になると自分をコントロールできず、家から出られなくなり引きこもってしまうなど、社会生活に大きな支障を来すこともある。

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