インタビュー

学校現場と連携した女性アスリート支援を
オンラインでの幅広い啓発にも期待 能瀬さやか医師


 ◇地域の産婦人科医とスポーツ現場の 連携後押し

 ―十代の選手の健康問題に対するサポートが特に重要な課題となっている。この点を含めて、女性アスリートのサポート体制の構築は。

 産婦人科医をはじめとする専門家とスポーツの現場が連携して対応していくことが重要だ。

 学校関係者やスポーツ関係者、医師らに参加を呼び掛け、「女子選手のヘルスケアを考える」をテーマに開かれた集会=2020年2月、東京都内
 小中高校の養護教諭や校医の先生、部活の指導者の方々には、選手の健康問題を拾い上げて、専門家につなぐ役割を期待している。オンラインセミナーもぜひ受講してほしい。

 20年度の取り組みとしては、各都道府県で産婦人科などの医師とスポーツ関係者らが連携して女性アスリート支援の取り組みを進めていけるよう、東北や九州といったブロックごとに、域内のキーパーソンとなる方々との意見交換会も開きたい。現在は、積極的に連携して支援に取り組んでいるところもあれば、どのように支援を行えばよいか試行錯誤している県もある。医師側とスポーツ関係者の接点をつなげる役割も果たしたい。

 そのほか、各スポーツ関連団体の代表者と意見交換会なども行う予定だ。

 ◇エネルギー不足による月経や骨以外への影響も調査へ

 ―国際オリンピック委員会(IOC)の合同声明は「スポーツにおける相対的なエネルギー不足」(RED―S=Relative Energy Deficiency in Sport)が月経や骨の問題だけでなく、男女の選手の心身全般に影響を及ぼすと警鐘を鳴らしている。

 スポーツ庁からは今年度、このRED―Sに関わる調査研究も受託した。エネルギー不足が月経や骨にどう影響するかは、これまでかなり研究してきたが、この調査研究では、全身のパフォーマンス、生理機能への影響を調べる。

 国立スポーツ科学センター(JISS)に委託してRED―Sの状態にある女子選手の代謝への影響を調べるほか、東大では、女子選手の免疫機能がどう落ちるか、消化器系の機能や精神面がどう変化するかを、運動生理学者や心療内科医、臨床心理士、公認スポーツ栄養士らと連携して調査する予定だ。(聞き手・構成 水口郁雄)



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