特集

一般病院の赤字割合が拡大
~療養型病院と精神科病院では縮小~
2019年度病院の経営状況分析 独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター リサーチグループリサーチチーム 調査員 内記 恵和

 福祉医療機構(以下、機構)のデータに基づき、コロナ禍前の2019年度(令和元年度)の病院の経営状況について分析した。なお、病院の類型については、一般病院、療養型病院、精神科病院の3類型⑴に分類している。

図表4 2012年度~2019年度 病院の黒字病院・赤字割合 病院類型別

図表4 2012年度~2019年度 病院の黒字病院・赤字割合 病院類型別

 一般病院の医業収益対医業利益率は前年度から0.6㌽低下し1.2%。療養型病院は前年度から0.5㌽上昇し5.7%、精神科病院は1.2㌽低下し1.7%だった。いずれの病院類型でも19年10月の消費税増税に伴う報酬改定などを受け患者1人1日当たり入院診療収益は増加したが、一般病院と精神科病院では人件費などの費用の増加が収入の増加を上回った。

 赤字割合は、一般病院では41.3%で前年度から4.7㌽拡大しており、ここ数年で最も高い水準となった。一方、療養型病院と精神科病院では赤字割合が縮小。療養型病院は3.2㌽縮小し20.8%、精神科病院は0.7㌽縮小し27.0%だった。

図表1 2019年度 病院 設置主体別構成割合

図表1 2019年度 病院 設置主体別構成割合

 【分析対象施設の属性】

 本分析の対象病院は機構の貸付先⑵である。対象病院の設置主体⑶は、医療法人を中心とした構成となっている(図表1)。病院類型別に見た病床規模の構成は、一般病院および療養型病院では100床以上200床未満が最も多く、一般病院では42.2%、療養型病院では52.3%であった(図表2)。200床未満の中小病院は、一般病院では約7割、療養型病院では約8割を占めた。精神科病院では100床未満はわずかであり、200床以上300床未満が最も多かった。

図表2 2019年度 病院類型別・病床規模別構成割合

図表2 2019年度 病院類型別・病床規模別構成割合

 1 全体概況

 19年度の医業収益対医業利益率(以下、医業利益率)は、病院類型によって異なる傾向を示しており、一般病院は前年度より0.6㌽低下し1.2%、療養型病院は0.5㌽上昇し5.7%、精神科病院は1.2㌽低下し1.7%となった(図表3、数値は小数点第2位以下を四捨五入しており、表記上の差し引きと一致しない場合がある。以下同じ)。一般病院では10年度の、精神科病院では09年度の医業利益率が最も高かったが、これらと比べると19年度は半分以下となっており、特に精神科病院では過去最低の水準であった。

図表3 医業収益対医業利益率の推移 病院類型別(平均)

図表3 医業収益対医業利益率の推移 病院類型別(平均)

 赤字⑷の病院の割合を見ると、一般病院は前年度から4.7㌽も拡大して41.3%となり、ここ数年では最も高い割合であった(図表4)。療養型病院は医業利益率の上昇もあって赤字割合が縮小し20.8%になった。精神科病院は医業利益率は低下したものの、赤字割合はほぼ横ばいの27.0%となった。

 在院日数について、一般病院は短縮傾向が続いていたが、18年度と19年度ではほぼ横ばいの17.7日だった(図表5、4㌻)。療養型病院と精神科病院ではここ数年で最も在院日数が短くなっており、療養型病院は4.1日短縮し84.7日に、精神科病院では6.7日短縮し238.6日になった(図表6、7、4㌻)。

 病床利用率について、一般病院はここ数年上昇傾向にあり、19年度は前年度から0.5㌽上昇し82.9%となった。療養型病院の病床利用率は前年度から1.1㌽上昇、精神科病院では前年度から0.5㌽低下した(図表8、4㌻)。

図表5 一般病院の在院日数の推移

図表5 一般病院の在院日数の推移

 2 機能性指標

 18年度および19年度の2カ年について、比較可能なデータのある病院に絞った上で、病院の機能性に関する指標を比較した。

 病床数はいずれの病院類型でも減っており、一般病院は0.6床、精神科病院は2.7床減床していた。特に療養型病院では4.5床の減床(前年度比2.9%減)であった(図表9、5㌻)。

 患者1人1日当たり入院診療収益(室料差額収益を含む。以下、入院単価)について、19年度は10月の消費税増税対応に伴う診療報酬のプラス改定もあり、一般病院では1273円、療養型病院では1013円、精神科病院では205円の増加となった。1施設当たりの従事者数は一般病院で8.7人増加しており、患者規模100人当たりの従事者数はいずれの病院類型でも増加していた。

 一般病院の医師事務作業補助体制加算の取得率が18年度の65.5%から19年度は70.4%に増加していることを踏まえると、タスクシフトなどによる働き方改革への対応等が従事者数の増加につながったと考えられる。

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