インタビュー

骨密度高くても骨折リスク=斎藤充医師に聞く(下)

 ◇骨質高める薬の併用も

―骨密度が高い人と骨質が低下している人は同じ治療でいいか。
 斎藤 骨粗しょう症の治療では、不足している骨量を増やして骨密度を高めるために、骨に沈着して破骨細胞を殺すビスホスホネート剤が広く使用されている。骨は代謝して常に中身が入れ替わるため、薬物療法は骨の代謝が続く限り、いつから始めても効果が出やすく、薬を使用しなかった場合と比べて骨折リスクは半分以下となる。月に1回や年1回の薬、半年に1回の注射などさまざまなタイプが承認されている。骨密度が高くて骨質に問題がある場合は、これに骨質を高める薬を併用すると効果的だ。しかし、骨質を改善する薬は薬価が高いため、医師と相談の上で必要に応じて使用したい。一定期間、服用しても効果が現れない場合は、幾つかの薬を試してみるのがいいだろう。

 ◇医師と相談し慎重に

―治療はいつまで続くのか。予防的に長期間、使用してもいいのか。
 斎藤 ビスホスホネート剤を長期間使っていると、骨が新陳代謝を行わなくなり、かえって骨が弱くなることもある。使用開始から3~5年で骨の状態が良くなり、骨粗しょう症の診断基準から外れたら薬の使用をやめてもいい。ただ、過去に骨折したことがある場合は将来的な骨折リスクが高い。骨密度が正常値になったとしても、治療を継続した方がいいだろう。その場合は、長期投与で起こりうる合併症を考慮しながら骨質を高める薬を使用するなど、医師と相談しながら慎重に進めることが重要だ。(ソーシャライズ社提供)

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