治療・予防

小児の顎関節症
~生活習慣やストレスで(日本歯科大学 岡本亜祐子助教ら)~

 顎(がく)関節は顎を動かすための関節で、耳のすぐ前にある。ここに炎症が起こって痛みが出たり、顎を動かすときに音がしたりするのが顎関節症だ。成人ではよく見られるが、小児にも表れることがあり、いくつもの要因が重なって発症するという。日本歯科大学(東京都千代田区)生命歯学部小児歯科学講座の苅部洋行教授と岡本亜祐子助教に話を聞いた。

顎関節の構造と顎関節症

顎関節の構造と顎関節症

 ◇「症状は音だけ」多い

 顎関節では、下顎にある下顎頭(かがくとう)という丸い部分が、耳の周囲の骨(側頭骨)にある下顎窩(かがくか)というくぼんだ部分で回転しながら前方へ移動することで、口を開閉できるようになっている。下顎頭と下顎窩の間には関節円板という組織があり、クッションの役目を果たしている。

 顎関節症になると、顎を動かすときにカクッと音がする、口を開けようとすると顎が痛い、口を大きく開けられないなどの症状が出る。岡本助教は「いくつかのタイプがありますが、小児で一番多いのは、音だけがして痛みを伴わないタイプです」と説明する。音の原因は、関節円板がもともとの場所から前方にずれていて、口を開けるときに下顎頭が引っ掛かるためだ。関節の柔軟性、姿勢や生活習慣、食べ物など、複数の要因が影響しているという。

 ◇生活習慣の見直しを

 岡本助教らが小学校5~6年生を対象に行った調査では、チューインガムをかむ、頬づえをつく、高さのある枕や硬い枕を使用している、合唱など口を大きく開ける動作をする、管楽器を吹く―などの行動を取る児童で、顎関節症の症状を訴える割合が高かった。他に、悪い姿勢やストレス、安静時に上下の歯を接触させる癖なども、症状の出現要因になる。

 岡本助教は「逆に言えば、これらの行動を避けるように注意することが、症状の改善や予防になります」と話す。

 治療は歯科を受診する。症状が音だけで痛みや開口障害がなければ、生活習慣の指導を受けて経過観察となる。ただし、小児の顎関節症は再発しやすいので、リスクのある行動を継続して避けるセルフケアが必要だ。なお、就寝中に装着するマウスピースは、顎の成長期でもあるので慎重な使用が望まれる。

 苅部教授は「子どもは音が鳴るのを面白がって、わざと口を開け閉めする場合があります。症状を悪化させてしまうので、させないようにしてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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