インタビュー

夏は血圧低下に注意=降圧剤減らす必要も-横尾隆医師

 

◇毎日、血圧測定を

 低血圧を防ぐためには、家庭血圧計を使って毎朝、起床後、食事前に血圧を測定し、血圧手帳などに記録していくことが大切だ。通常の血圧が最高130mmHgで最低80mmHgだとすると、夏は最大で10mmHg程度下がる。それ以上の幅で低下している場合は、複数の降圧剤を使っていれば薬の種類を減らし、1剤の場合は服用量を減らした方がよい。同じ種類の薬で降圧成分の含有量が異なるときはより少ない含有量の薬を使い、最も少ない含有量の薬を使っていた人はしばらく服用を休む。

 横尾教授は「薬の性質や他の持病の有無なども検討する必要がある。減薬や服用中断は医師の判断に基づいてほしい。患者だけの判断は急激な変化を生じさせる恐れがあるので、危険だ」とした上で、医師が判断する場合でも服用量の変化がどの程度の効果をもたらすか見極めるため、服薬量の変更後にできれば2週間おきに2回、最低でも4週間に1回は診察を受けてほしい、と呼び掛けている。

 ◇体重で排尿量把握

 もう一つの大きなリスクが腎機能の低下だ。腎機能は尿へ尿素やタンパク質などを排出する量で評価されることが多いが、横尾教授は「それより先に尿を濃縮する機能が低下し、結果的に排尿量が増える傾向がある」と指摘する。排尿量が増加し、十分な水分補給をしなければ、降圧剤の効果を増す脱水状態に陥りやすくなる。

 「夜間頻尿やトイレに行く回数が増える過活動膀胱(ぼうこう)などと診断され、水分摂取の制限を指導されている患者の中にも、このような人が少なくないのではないか。排尿前の切迫感の強さや残尿感の有無なども考慮しながら、脱水状態に陥らないように就寝前や夜中で起きた際に適切な水分補給をするようにしてほしい」

 排尿量の変化を把握するために有効なのが、毎日の朝晩の体重測定だ。排尿量は1日1500cc以上2000cc前後で安定することが望ましいので、標準的な体重なら1日に0.5キロ以上の上下がある場合は脱水状態に陥っている可能性がある。その上で横尾教授は「比較的簡易な検査で過剰な排尿があるかは確認できる。尿量に不安があれば、水分摂取を控える前に医師に相談してほしい」と話している。

(喜多壮太郎)
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