インタビュー

地域の「がんナビゲーター」全国展開を =日本癌治療学会が認定制度改訂、相羽惠介・制度検討WG委員長に聞く

 がん患者の大きな悩みの一つに、がんに関する的確な情報の入手の難しさが挙げられる。全国の「がん診療連携拠点病院」には相談窓口の「がん相談支援センター」(がん相談支援室)があるが、利用率は極めて低い。こうした中、日本癌治療学会(北川雄光理事長)は今年度から、正しい知識を持って患者・家族の相談に乗り、がん相談支援センターへのつなぎ役を果たす「認定がんナビゲーター・シニアナビゲーター」制度の全国展開を図ることにした。想定する主な認定ナビゲーター候補は、地域の医療ネットワークに属する薬剤師や医療スタッフ、がん経験者のピアサポーターらだ。制度検討ワーキンググループ(WG)委員長の相羽介慈恵医科大客員教授に、狙いなどを聞いた。

 ◇情報不足の患者・家族の悩みに応えるために

 ―がん患者の置かれている状況について。

 「がんと診断された患者が困窮する大きな要因は三つある。医療費が高いこと、精神的な寄り添いが足りないこと、そして、信頼に足る医療情報が不足していることだ。インターネットには情報があふれているが、不適切な宣伝も多く、患者や家族は的確な情報を選んで活用するのが難しい」

 ―認定制度の検討は2010年から始めた。その経緯は。

 「極端な事例では、患者や家族の弱みにつけ込み、相談に乗って医療に介入し、すぐにお金を取って患者を食い物にする民間の業者がいた。そうした状況も憂慮して、当初は学会として医療のコーディネーターを育てようと考えた。しかし、病院に行く患者に付き添い、とことん面倒を見る人材の育成はハードルが高かった。カルテを見るためには国家資格の診療情報管理士の取得も必要だし、コーディネーターとして学会が認定しても、国家資格ではなく職業にするのは無理。発想を180度変え、医療情報の提供に限定し、医療には介入しないナビゲーターを育成することにした」

 ―「がんナビゲーター」の認定制度は14年にスタートし、群馬、福岡、熊本の3県でモデル事業を実施してきた。

 「地域のがん医療ネットワークに属していることが認定申請の前提。がんの基本や治療に関する知識、がん対策基本法などの法律・行政的な知識、守秘義務のような医療倫理、治験情報など41講座を『eラーニング』で学び、さらにコミュニケーションスキルのセミナーやがん診療の実地見学に参加してもらい、合格者を認定した。ただ、100%ボランティアであり、ナビゲーターを目指すハードルも高かったようで、昨年秋の時点では4人の認定にとどまった」

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