インタビュー

地域の「がんナビゲーター」全国展開を =日本癌治療学会が認定制度改訂、相羽惠介・制度検討WG委員長に聞く


 ◇今後2年間で1000人認定が目標、薬剤師らを想定

 ―今年11月から、がんナビゲーターとがんシニアナビゲーターの2段階に分けて認定する制度に改訂された上で、全国展開が始まった。

 「これまでのナビゲーターに当たる人をシニアナビゲーターと呼ぶ。さらに、eラーニングを受講して合格すれば、ナビゲーターとして認定することにした。今秋時点でシニアナビゲーターは31人になっており、今後も毎年、倍々くらいのペースで増えてほしい。ナビゲーターは今後2年間で1000人育成するのが目標だ」

 ―具体的な役割は。

 「400カ所以上あるがん相談支援センターには、患者や家族の相談に乗れる相談員がいるのに、今は活用が十分でない。シニアナビゲーターは、困っている患者らの相談に乗り、がん相談支援センターにつなぐ役目が最優先で、相談員の弟分、妹分的な存在になってほしい。ナビゲーターは、地域で『乳がん検診があるから受けましょう』『がんの市民講座や患者会があります』と近所に触れ回るような啓発活動を行う役割を主に想定している。ゆくゆくは『がん教育』にも携わってほしい」

 ―こうした「水先案内人」には、どのような人を想定しているのか。

 「調剤薬局の薬剤師、看護師、医療スタッフ、ピアサポーターらが最も有力な候補になる。最初は拠点病院関連・関係の人材がなるのが手堅いパターンになりそうだ。地域の実情に応じ、がんの本を置くコーナーを設けている図書館の職員らも考えられる。地元の困りごとに通じているコンビニやクリーニング店などの方になっていただくのもありがたい」

 ―患者らが接する機会は現時点ではまだ限られているが、今後の見通しは。

 「シニアナビゲーターは少しずつ活動している。ナビゲーターは今後どういう活動をするのかも、まだ手探りの状態だが、学会では都道府県ごとに旗振り役の責任者を委任した。病院だけでなく、町内会でもPTAの会合でも、人が集まるところはどこでも活動の場になる。活動が助け合いの雰囲気を生み、健やかで明るい社会へとつながってほしい」(水口郁雄)




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