インタビュー

仕事や趣味、日常の時間を少しでも長く―高齢者の肺がん、生活機能重視の治療を
東京都健康長寿センターの山本寛・呼吸器内科部長

 ◇高齢者に合わせた標準治療の研究を

 山本部長は「生活機能や認知機能の障害が起こりにくくなるような肺がん治療を選択していくことが、これからの時代は絶対に必要になる。結果的に患者の生命予後も長くなると期待できる」と強調する。

 現在の肺がんの標準治療で、治療が有効かどうかを判断する最大の目標は「生存期間の延長」だ。その基になっている臨床試験の多くは、70歳未満の患者を対象に行われたものだという。

 高齢者が抱える生活機能や認知機能の障害はさまざまだ。治療の安全性評価に関しては、日常生活の制限度合いを歩行などの状態で示す「パフォーマンスステータス(PS)」という指標もあるが、必ずしも評価し切れない。「PSは良好」と判断され、不適切な治療が行われる恐れもあると、山本部長は指摘する。

満開の桜を見て散歩する東京の高齢者。多くの人の願いは「健康長寿」だ(EPA=時事)

 今後に向けて念頭にあるのは、高齢者に合った肺がんの標準治療の研究だ。「がんを治療する側が、高齢者をどう診るかを知らなければいけない時代になった。生活機能の予後(治療後の経過)を、治療が有効かどうかの評価項目に置く標準治療の実現に向けて、何かできることがあれば力になりたい」と話す。

 ◇団塊の世代にも身近な問題に

 国立がん研究センターが2017年9月に公表した予測によると、肺がんの年間死亡数は17年には約7万8000人。超高齢化社会の進展につれ、患者は今後も増えると予想される。

 「健康長寿」という究極の理想に、肺がん治療が少しでも近づくことができるのか。団塊世代を含むシニア世代や予備軍にとって、身近で切実になり得る問題と言えそうだ。(水口郁雄)

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