治療・予防

周囲の環境調整が重要
自閉症の聴覚過敏

 発達障害の中でもコミュニケーション障害や行動パターンが限られるなどの特徴がある自閉症。そのような人の中には音や光などの刺激に敏感過ぎたり、逆に鈍かったりすることがあり、過敏性が強いと社会生活に支障が及ぶこともある。自閉症スペクトラムの聴覚過敏の研究をしている国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所(東京都小平市)の高橋秀俊・児童期精神保健研究室長に話を聞いた。

 ◇日常的な音に不快感

 自閉症の人の感覚処理が異なることは、自閉症の概念が初めて報告された1940年代から既に知られていた。高橋室長の研究チームは、強い音を聞いたときに反射的に見られる目のまばたきの大きさに着目。弱い音から少しずつ強くして、どの程度の音の強さで生理的に不快に感じるかという聴覚過敏性を評価した。

 まばたきの反射は通常80~85デシベルの強さの音で見られるが、自閉症スペクトラムでは65デシベル程度の比較的弱い音でも大きな反射が見られた。75~85デシベルの音への過敏性であれば周りに気づいてもらいやすいが、65デシベルの音への過敏性は保護者にも気づかれにくいことが分かった。

 65デシベルの音の強さとは、ファミリーレストランやコーヒーショップの店内で一般的に測定される程度の音の強さで、バスや鉄道の車内では70デシベルを超える。一般的に騒音とは見なされない音の強さで、日常的な音に対しても居心地の悪さを感じる可能性があったのだ。

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