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高まる延命率、重要性増すリハビリ
脳梗塞発病後の治療

  

◇再発の有無を左右

松本浩一・総合東京病院リハビリテーション科科長補佐

 患者のリハビリは、このような治療と並行して続ける必要がある。理学療法士で同病院リハビリテーション科の松本浩一科長補佐は「入院中は早期からリハビリを始めるが、どのような内容で、どの程度の負荷をかけ、どれくらいの時間行い、どれくらいの期間続けるかは、担当の医師の指示に従って計画する。リハビリの内容や負荷の量に注意しながら、リハビリを進めていくことが大切だ」と話す。

 退院後、日常の生活動作を自分自身でできることを目指し、まひにより動かしにくくなった手や足の機能回復に向けて身体を動かしていくなどといったリハビリの目標と計画を設定していく。


◇退院後のリハビリに制約

 ここで問題になるのが、退院後のリハビリが事実上制約されていることだ。退院後、健康保険が適用される外来リハビリは実施できる時間や期間が限られている。外来リハビリを実施している医療機関も多いとは言えない。一方、介護保険の適用になる年齢であれば通所リハビリや訪問リハビリを受けることもできるが、入院中のリハビリに比べると集中的なリハビリを行うことはやはり難しい、と松本科長補佐は指摘する。

 さらに、「40代から50代で脳梗塞を発症した比較的若い人たちは、仕事への復帰や日常生活における自立の要求度が高いにもかかわらず、退院後のリハビリに制約を受ける、という矛盾が生じている」と言う。渡邉院長も「リハビリを重ねても発病前の状態に戻れるわけではないが、しなければ寝たきりの状態になってしまう」と、発病後の支援に関し総合的な対策の必要性を訴える。(文 喜多壮太郎・鈴木豊)

 【用語説明】脳梗塞
 血液が凝固した血栓が脳内の血管をふさいで血液の流れを止め、その先の脳細胞を壊死(えし)させてしまう疾患。日本人の死因の上位を現在も占める。閉塞(へいそく)の起きる血管の太さや閉塞の度合いによって重症度や死亡率などは異なるが、発病後の治療は一刻を争う。処置が遅れると、死に至ったり、重い後遺障害をもたらしたりする可能性が高まる。

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